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■ Report 第46回Eビジネス研究会
 
 『XMLとWebサービスで実現する「次世代のWeb」』
〜Webの可能性をさらに広げる「Webサービス」の技術と課題〜
 
アマゾン ジャパン株式会社 Amazon Webサービス
テクニカルエバンジェリスト 吉松 史彰 氏

  サムネール 当日資料は
非公開

46回目となる今回は、『Amazon Webサービス』のテクニカルエバンジェリストとして、XMLやWebサービス技術、とりわけ『Amazon Webサービス』を普及させ、その開発者コミュニティを盛り上げるために活動する吉松史彰氏をお迎えしてお送りしました。セミナーでは、アマゾンが考えるインターネットの現状と、『Amazon Webサービス』を一例とする次世代のウェブの方向性について、吉松氏の持論を交えてお話いただきました。


インターネットは未だ黎明期


皆さんは、現在のインターネットの進歩がどの程度のものか考えたことはありますか? インターネットは未だ黎明期にあり、それは電気の歴史に例えると、エジソンが電気を発明した 1800年代後半の状況とよく似ているといわれます。
エジソンの発明後、電気はまず「灯りを各家庭へ届ける目的」で使われるようになり、ニューヨークなどでは街に電線が引かれました。ところが、その後電気を使った扇風機やアイロンなどが発明されると、電気はたちまち「灯り以外の目的」にも使われるようになっていったのです。
同様にインターネットの世界でも、学者が研究論文などを世界に配信するために生まれた「World Wide Web」という技術が人々の目に留まり、文章を配信する以外にもそのシステムを利用しようという発想が生まれました。もちろんアマゾンも例外ではなく、インターネットの環境を利用して、モノを売ったり、代金を決済したり、配送したりするビジネスができるのではないか? という発想が創業の発端であったといえます。
この二つの例を通して見えてくることは、電気やWorld Wide Webといった基本的なインフラがあったからこそ、革新的な機器や発想が生まれたということです。つまり、電気の世界と同じような現象が、インターネットの世界でも起きたのです。


インフラを活用し新たな価値を創造する


では、いったい今、インターネットの世界では何が起こっているのでしょうか? 皆さんは「Jungle Scan.com」というサイトをご存知でしょうか? このサイトは、米国Amazon.comで販売されている書籍のURLを入力すると、その書籍のアマゾンにおける売上ランキングがグラフで表示されます(アマゾンとは無関係のサイトです)。
通常、Amazon.comのサイトで書籍の売上ランキングを知るためには、各書籍の詳細ページに入って行って、「Amazon.com Sales Ranking」部分の数字を見るしか方法はありません。
ですが、同サイトでは、Amazon.comの書籍詳細ページの売上ランキング・データを「スクリーン・スクレイピング」という機能を使って、ランキングを取得するためだけの目的に使い、ユーザーに提供しています。
そもそもアマゾンが提供する商品の詳細ページは、アマゾンやそのパートナー企業が商品を売るために作ったページです。ですから、そのページ本来の目的は、お客様に商品をショッピングカートに入れてもらうためにあるわけです。
ここで思い出してほしいのが、先程の電気の例です。電気が家庭に来た時、当初は「灯りをつける目的」で引かれたのと同じように、Amazon.comの商品詳細ページは本来、その商品を買ってもらうために作ったページだったわけです。しかし、電気を「灯り以外の目的」に使えないかと考えた人が扇風機を発明したように、「Jungle Scan.com」は、Amazon.comにアクセスして本を買うのではなく、単に本の売上ランキングだけを取ってきて表示することで新たな価値を創造しているのです。


インターネットの次世代を担うウェブサービス


このような発想こそが、次世代のウェブを実現するために、アマゾンが推し進めている「Webサービス」の考え方です。 つまり、Webサービスとは、プラットフォーム(Amazon.comのサイト)とアプリケーション(例:Jungle Scan.com)とを分離するためのツールということができます。
したがって、『Amazon Webサービス』では、Amazon.comやAmazon co.jpを構成するデータと全く同じデータやテクノロジーに誰もがプログラムからアクセスすることができます。
米国Amazon.comが『Amazon Webサービス』をスタートして約2年半経ちます。現在、次のように様々な形でWebサービスを展開しています。
 ・ Amazon E-commerce Service
   …商品カタログやショッピングカート機能、カスタマー・コンテンツ(リストなど)
 ・ Alexa Web Information Service
   …40億以上のウェブページから収集した100TBのデータ
 ・ Amazon Management Service
   …AWS利用状況のマトリクスを提供
 ・ Amazon Simple Queue Service
   …スケーラブルで信頼性の高いFIFOキュー


これらは、『Amazon Webサービス』という基本的なインフラに存在するデータが、アマゾンにアクセスする以外の方法で利用できるようになった結果生まれたサービスです。
一方、最近では、『Amazon Webサービス』を利用した革新的なサイトも登場し
ています。例えば、「Monsoon Retail.com」は、アマゾンのページ上にあるマーケットプレイスに対し多量の商品を出品している「マーケットプレイス・セラー」を対象に、その在庫管理やアマゾンからの売上レポートなどを受け取るという一連の手順を、アプリケーションを通じて請け負っています。さらに同サイトでは、出品された商品の価格を値動きに連動して引き下げ、商品回転率を高めるというサービスも提供しています。


データベースそのものが価値になる


『Amazon Webサービス』によるデータは、アマゾンの売上を最大化するためだけにに作られ、利用されてきたものではありません。例えば、皆さんが仕事で使っているデータは、仕事で使う用途以外にもたくさんの使い途があるはずです。Webサービスに技術やデータを提供するアマゾンの戦略も同様といえます。
一般的にテクノロジーが進化していくと、次第に本来あった使われ方はされなくなり、別の用途が出てくることで技術は進歩していきます。例えば、アマゾンの場合では、先の「Jungle Scan.com」がその典型です。
もちろん、アマゾンはIPアドレスの特定などでこれらのアクセスを遮断することもできるわけですが、あえてそうしないのには理由があります。それは、アマゾンで商品を買ってくれる人が増えれば、やがてインターネット上で買うことのできる商品の「データベース」としてアマゾンが機能するようになると考えているからです。
データベースが構築されれば、そのデータを利用して何かをしようとする人が必ず出てくるので、データベースそのものに価値が出てくることになります。これがアマゾンの狙いなのです。


「Rip・Mix・Burn」の発想で技術投資の有効活用を


最後に、『Amazon Webサービス』の戦略について、吉松氏が挙げたのが「Rip・Mix・Burn」というキーワードでした。これが何を暗示しているかといえば、今まで音楽というのはCDという「パッケージ」で売られていて、曲単体では売られていませんでした。つまり、顧客にとっては、聞きたくない曲まで買わされていたわけです。しかし、iTunesを使えば、自分の好きな曲だけダウンロードして使うことができる、つまり好きなようにパッケージを加工することができるわけです。ここから生まれたのが「Rip・Mix・Burn」という言葉です。このように、アマゾンのサイトから、例えば検索機能など自分の必要な機能だけを取り出してパッケージし直すことで、そこに新たな需要が生まれ、顧客が次第に増えていくという連鎖反応が出てくるのです。ここがアマゾンの狙いで、最終的には「誰もが顧客になってくれる」というのが『Amazon Webサービス』のコンセプトです。「技術投資の有功活用」と言ってもよいでしょう。
とはいえ、日本ではまだまだ自社のサイトに沢山の有用なデータがあり、それをインターネットで見られる環境が整っているにも関わらず、ウェブブラウザでしかそれを見られない状況にあることを吉松氏は指摘しました。当初は、企業が自分達の売上を上げるために立ち上げたサイトでも、別の角度から見れば、別の用途で使ってくれる人がいるかもしれません。ですから、そういったデータは是非とも外部に提供してほしいと吉松氏は述べています。
こうしたことを繰り返していくことでWebサービスは進歩を遂げ、またそうあらならなければならないという理念がアマゾンにはあるのです。


                                          2005.1.28
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