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■ Report 第49回Eビジネス研究会
『SEMとコンテクスト広告の現状と未来』
〜検索エンジンの進化とWebマーケティングの未来〜
 
株式会社シーエーサーチ
代表取締役 岡本 保朗 氏

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      サムネール          

49回目の今回は、サイバーエージェントのSEM戦略子会社で、SEM関連の広告取扱高において業界No.1を誇る、株式会社シーエーサーチの岡本保朗氏を迎え、検索連動型広告、コンテクスト広告のノウハウについて紹介していただきました。多様化、複雑化するインターネット上のプロモーションの現状および展望を、具体例を交えてお話いただきました。


■ネット広告市場の概況


生活者がインターネットに接する時間は、従来に比べますます長くなってきています。例えば、ブロードバンドユーザーに関しては、インターネットに接している時間は全体の約20%といわれています。したがって、広告を打つ場合も、広告費全体の20%程度をインターネットに使うことが全うな考え方ではないか、と岡本氏は冒頭で述べました。


実際に、広告市場全体に占めるシェアを見ても分かるとおり、ネット広告が今後も伸びていくことは間違いありません。現状、市場の伸びに関しては日本もアメリカも「キーワード広告関連」が全体を牽引しており、企業が出稿しているネット広告のうち、約4分の1がキーワード検索による「検索連動型広告」に代わってきています。
シーエーサーチでは、日本におけるその市場規模は約400〜500億円(2004年度)に達するものと見ており、もちろんクライアントにとっても、それは利用価値の高い商品となっています。


■ぺイドリスティングがクライアントに支持された理由


ところで、皆さんはよく「SEM(検索エンジンマーケティング)」という言葉を聞かれると思いますが、SEMは、大きく次の3つのジャンルに分かれています。


 1. リスティング広告(検索連動型広告)
   あるキーワードを打ったときに表示される、キーワードに関連したスポンサー
   サイト。


 2. SEO
   ある特定のキーワードで検索した場合に、検索結果の上位に表示されるように
   ウェブサイトをチューニングするサービス。主にロボット型の検索エンジンで
   上位表示をさせるために、検索エンジンのアルゴリズムを理解した上でホーム
   ページを作成するサービス。


 3. ディレクトリ登録
   クライアントが有料でポータルサイトに申請を出して、特定のキーワードでリス
   ティング広告を作ってもらうサービス。


では、上記のような「ペイドリスティング広告」が、従来のバナー広告に比べ最も大きく進化した部分はどのようなところでしょうか。


岡本氏によれば、バナー広告は「マス広告を早く・安くしたもの」という認識を持っているそうです。これまでバナー広告を出稿する場合には、どんな属性のユーザーが見ているのか、リーチはどのくらいあるのか、という点を中心にプランニングをしてきました。しかし、検索連動型広告に関していえば、そのような「プロバイディング」の考え方は今のところあまり出てきていません。


検索連動型広告では、キーワード検索してきたユーザーのシチュエーションにリーチした考え方をしており、これはネットの本質を表しているのではないか、と岡本氏はいいます。つまり、「広告に対してお金を払う」あるいは、「広告と情報の境目がその人の欲求を満たしてしまう」という仕組みが、検索連動型広告の特徴になっているのです。


一方、クライアント側にとってのメリットは、広告の情報の伝わり方がバナー広告に比べて良く、ユーザーの求めているシチュエーションが細かく拾えるという点が挙げられると思います。さらに広告を出稿したり、変更することも容易で、スピード化が図れる点もメリットの一つといえるでしょう。


■ 高い費用対効果から採用する企業が増加


先に述べたとおり、検索連動広告の市場はますます拡大しており、シーエーサー
チの予想では、今年度は800億円規模に達するものと見ています。したがって、インターネットのプロモーションにおいては、これをいかに効率的に使うかという点が、成功のカギを握っているといっても過言ではないでしょう。


そこで知りたいのが、検索連動型広告の費用対効果についてですが、これはシーエーサーチのお客様の裾野の広さを見れば明らかだと思います。現在、検索連動型広告を採用する企業は、金融・人材・小売・旅行などの業種が多いといいます。これらは、もともとマーケティングにおいてインターネットとの融合性があった業種ですが、ナショナルクライアントから中小企業まで幅広くサービスが利用されており、裾野は非常に広いものです。


また、広告一つあたりの粗利が非常に小さいものでも、ユーザーの細かいシチュエーションが拾えて、なおかつプライシングもある程度自由に決められるというメリットから、一件あたりの利益が小さい中小企業のお客様にも好評を得ている点も特徴の一つといえるでしょう。


■注目されるコンテクスト広告


これまで述べてきたとおり、今後もSEMはプロモーション成功の非常に重要なファクターとなっていきますが、ここに来て新たな手法も登場しており、今後もますます多様化、複雑化していくことが予想されます。ここでは、最近注目される広告形態についてご紹介したいと思います。


インターネット広告におけるターゲッティングの考え方には、大きく分けて2つあると思います。一つはウェブのコンテンツに合わせた広告、もう一つは個人の行動履歴に合わせた広告です。最近よく使われるようになってきた「コンテクスト広告」は、この二つのパターンで動いており、いま最も主流になっているのがGoogleアドセンスの広告形態です。


これは、ウェブコンテンツに掲載されているキーワードとの関連性で広告をマッチングさせ掲載するという手法で、スタートした当初よりマッチングの精度は高まっているといいます。アドセンスが普及した今では、ページにマッチした広告をクリック保証型で購入するという考え方も顧客に浸透してきており、媒体としてもバナー広告を貼るよりは、こちらの方が収益も上がるという判断が出てきています。また、最近はブログやソーシャルネットについても、コンテクスト型の広告を採用するサイトが増えてきています。


なお、後者の「個人の行動履歴に合わせた広告」に関しても、今後は増えることが予想されると岡本氏はいいます。技術的にはこうした広告形態は可能ですし、業界大手のYahooもこの手法に取り組んでいるのではないかといわれています。


一方、最近特に脚光を浴びているのが、キーワード以外のマッチング手法の開発です。これはマッチング手法の「逆説」ともいえる考え方ですが、マッチング手法自体が「それほど機械的なものではないのでは?」というところが開発の原点にあります。 


例えば、自宅でレンタルビデオを借りて映画を見るときに、一緒にピザも食べたいと思っているユーザーがいたとしたら、レンタルビデオの映画評論のページなどにピザの広告を載せた方が効率がいいという話があります。


つまり、そのユーザーがどういうシチュエーションにいるかで広告のインパクトは変わってくるため、単純にキーワードで抽出して、機械的に合わせていくという以外の方法があるのではないかという発想なのです。こういったコンテクスト広告も、考え方としては検索連動型広告と近いのではないかと岡本氏は考えるそうです。どの手法をとっても、結局そのユーザーが置かれている「シチュエーション」や示してくれている「意志」をどうやって拾っていくかが、コンテクスト広告のポイントになるということです。


■SEMとコンテクスト広告の課題


最後にSEMとコンテクスト広告の課題について、岡本氏よりお話をうかがいました。現状においては、両者とも意外に費用対効果が高いため、お客様が積極的に利用してくれるという状況がありますが、実際ほとんどの販売代理店では、この費用対効果が高いというメリットしかお客様に伝えていないといいます。これは、おそらく広告的に考えた場合、リーチやプロバイディングという考え方が今までの広告に比べてはまりにくい商品であるにもかかわらず、それに代わる理論や指標がないことが理由といえます。岡本氏は、これこそが今後考るべき課題であるとしています。


また、同様にコンテクスト広告についても、今後さらに進化していく手法ではありますが、結局のところオンデマンドの世界観になってくれば、当然、検索連動型広告のノウハウが顕著に活きてくるものと思われます。こうしたメディアプランの設計、考え方、コンセプトの作り方などを体系立てていくことが、シーエーサーチの使命であると岡本氏はいいます。

                                           2005.3.25
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