|
『ユビキタス技術が変えるビジネス・エンターテインメントシーンの実際』
〜2足歩行ロボットとケータイ電話の連動にみるユビキタスコンテンツプロバイダーの役割〜 |
|
有限会社ユビキタスエンターテインメント
代表取締役社長 清水 亮 氏
|
|
当日の様子はこちらから |
当日の資料(抜粋版)はこちらから |
|
|
 |
|
53回目となる今回は、携帯電話、PC、2足歩行ロボットなど、様々なプラットフォームに向けたユビキタスコンテンツの企画、制作、開発を手掛ける 有限会社ユビキタスエンターテインメント 代表取締役社長 清水 亮 氏 より自身の生い立ちからiモード事業立ち上げ時の貴重な経験談や、起業にあたって感じたことを踏まえて、ユビキタスコンテンツの可能性についてお話いただきました。また、同社の事業の1つである2足歩行ロボット「NUVO」を使ったデモンストレーションも行っていただきました。
■マイクロソフトから学び得た「誇り」とは
幼い頃からプログラムを開発し雑誌に投稿などを行いながら、雑誌の連載も行えるようになり、18歳で小さなゲームベンチャーに入社しました。プレイステーション(SCE)の企画・開発・マネジメントを経験し、当時はゲームは出せば売れる時代でしたので、売上的には良かったのですが、チームのプロジェクト管理が上手く行えず事業的には失敗でした。チームは解散することになり、派遣会社で仕事を行いながら趣味で日本初DirectX専門サイトを作成することにしました。それを機会に人脈が広がり、優秀な人と知り合うには受身ではなく積極的に行動する大切さを知り、マイクロソフトからオフィシャルテクニカルサポートチームの立ち上げ依頼がありました。
「一流の人材とは、一流の誇りを持つ人材である」
「目的を達成するためには手段を選ぶな」
資格や学歴ではない一流の誇りを持つ者こそが一流であり、失敗を恐れず成功の為にとった行動を信じ、目的を達成するためには手段を選ぶな、マイクロソフトの業務を遂行していく上で多くのことを学びました。
注)DirectX・・・マイクロソフト社が同社のウインドウズシリーズのマルチメディア機
能を強化するために提供している拡張API群。(IT用語辞典より)
■自分が開発した携帯ゲームが爆発的人気に
取引先がゲーム業界からの撤退を発表するなどして、行っていた業務を続けることができなくなってしまいました。しかし、転機が訪れます。i-modeがまだ普及しておらず携帯電話ビジネスも本格化していない当時、携帯電話では面白いと言われるゲームが存在していませんでした。それは、ニーズがなかったのではなく、携帯電話の性能を最大限に活かしきれていない為だと気づき、携帯電話ゲーム開発を開始します。後にマザーズへの上場を果たすドワンゴへ入社し、釣りゲーム「釣りバカ気分」を開発。2時間で1000人の入会希望者を集め、人気コンテンツとなっていきました。携帯電話ビジネスも本格化していき、ゲームのラインナップも増やし、プロモーション活動を効果的に行い、順調に会員数を伸ばしていきました。
■漠然とした不安から起業を決意
携帯電話で人気コンテンツを作成し成功に導きましたが、新たな発展を求め、シアトルのドワンゴUSAへ入社します。新たなチャレンジの舞台を得るものの、技術の進歩が遅く、アメリカと日本との携帯電話業界の意識の違いによるギャップを感じながら、日本の携帯電話業界が第3世代に移行していく光景を目の当たりにし、起業を決意しました。世界に挑戦することができる最先端の仕事を行うため、有限会社ユビキタスエンターテインメントを設立しました。現在の基幹事業は、携帯電話コンテンツ事業・ユビキタスシステム開発事業・ゲームエンジン事業となっています。
■フルブラウザ事業は、あと1年
携帯コンテンツ事業の1つとしてフルブラウザ事業があります。「サイトスニーカー」という携帯電話でパソコン用WEBサイトを自由に閲覧できるブラウザを開発しました。βテストを終え、現在1日8万〜12万アクセス、1日8000ユニークユーザ以上が利用して頂いています。今後はサーチテリア社との協業による検索キーワード広告収入やローディング画面広告を軸としたポータルサイト展開とサーバを安価に提供するライセンシング展開を考えています。また、今後発売される携帯電話にフルブラウザが搭載されることは安易に予想がつきますので、弊社としては、フルブラウザ事業は、あと1年と考えています。
■ヒト型ロボットの進化と発展性
ユビキタスシステム開発事業の中には、2足歩行ロボット向けOS・コンテンツ開発があります。ロボット業界の今後は、ただ歩くだけ、走るだけ、動くだけで驚いていた時代から、「何をさせるか?」という時代へ間違いなく飛躍します。
「何をさせるか?」を言い換えるならば、ロボット向けコンテンツ出現を意味し、需要が必ず訪れるということです。ヒト型ロボット向けコンテンツを作成する上で3つのキーワードがあります。
・インターネットアクセス
・ユーザインターフェース
・スマートフォン
インターネットアクセスとは、ロボットが無線LANにダイレクトに接続することにより、従来は想像すらできなかった全く新しい領域のコンテンツの供給が実現します。ユーザインターフェースとは、ロボットが音声やライト、ジェスチャーなどを駆使して人とコミュニケーションが出来ることです。スマートフォンとは、通話機能だけではなく、コンピュータとしての機能を持つ携帯電話であり、そのスマートフォンと連携は必要不可欠です。
ここで、清水氏がZMP社と共同で開発した2足歩行ロボット「NUVO」を使ったデ
モンストレーションを行いました。
清水氏が「NUVO」に向かって「今何時?」と発言すると、「9時30分です。」と音
声で伝えてくれます。「明日の予定を教えて」と発言すると、「10時から会議で
す。14時からデートです。」と音声で伝えてくれます。Eビジネス研究所 代表木
村も急遽デモンストレーションに参加し、質問しましたが、ちゃんと応答していま
した。事前にロボットに主人の音声を記憶させ認識させる必要が無いということが
実演されました。
コンピュータは、ソフトが無ければただの箱。ロボットにも同じことが言え、コンテンツがなければただのラジコンです。重要なのは、コンテンツなのです。ロボットで操るコンテンツを想像してみてください。ゲーム・ペット・老人介護・ニュース・検索などなど無限の可能性を秘めています。これからも、ユビキタスエンターテインメントでは、世界に挑戦するための最先端のコンテンツを作成できればと考えています。
2005.5.26
|