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■ Report 第55回Eビジネス研究会
『RSSの普及がもたらすウェブの構造変化と広告の進化』
〜分散化するウェブの現状・広告のトレンドの変化を探る〜
 
株式会社RSS広告社
代表取締役社長 田中 弦 氏

当日の様子はこちらから 当日の資料(抜粋版)はこちらから
                

55回目となる今回は、ブログのコンテンツの内容を取得するフォーマットであるRSSを利用したコンテンツマッチ広告サービスを提供している、株式会社RSS広告社 代表取締役社長 田中 弦 氏よりRSSの基本的な構造から、今後のインターネット広告市場に与えるインパクトなど、RSSの将来性についてお話いただきました。


■検索エンジン内で溜まっていたトラフィックがブログへ


数年前にgoogleやYahoo!でレアなワードを検索した際に、「0件でした」と表示されてしまったり、最近、任意のワードで検索した際に、検索結果が「ほとんどブログ」だったというような経験をされたことはないでしょうか?
このような現象が起こる理由は、2つあると考えています。


1つめは、GoogleやYahoo!のサーチエンジンの進化です。2004年2月には、約42億ページを対象に検索しておりましたが、2004年11月には、約80億ページにも及ぶサイトを対象に検索するようになり、分母が増えたことによって、最近では「0件でした」と表示されることが少なくなりました。


2つめは、GoogleやYahoo!の検索エンジンにブログが好まれやすいからです。検索エンジンで被リンク数が多いと上位表示されやすいと考えられていますが、ブログは被リンク数がもともと多くなる構造になっており、文法的にも正しい記述で書かれていますので、検索エンジンにブログが好まれやすいといえます。


上記の事から、今まで「0件でした」と表示され、検索エンジン内で溜まっていたトラフィックがブログの出現によって、「0件でした」が「数件でした」となり、その数件は、ブログの記事であることが多くなってきています。つまり、ブログへとトラフィックが誘導され、より広範囲にトラフィックが分散するようになってきたのです。


■ロングテール


具体的な例をあげますと、検索エンジンで検索されるワードの上位10個は、全ての検索ワードに対する割合の3%にしか達しておらず、上位10位以下を総合すると97%に及びます。さらに月に1回しか検索されないワードも多数存在します。
しかし、月に1回しか検索されないレアなワードでも、昔は「0件でした」と表示されていたところが、サーチエンジンの進化と検索ランキングにブログが好まれやすいという理由から、現在はブログの記事が検索結果として表示されるようになりました。よって、2003年以降のブログの普及により、あらゆる情報が「分散して」存在するようになっていきました。これをロングテールと呼びます。


トラフィックが集中しており、よく検索されるワードであれば、その検索結果のサイトにバナー広告を貼ったり、アドワーズやアドセンスを貼ったり出来ますが、月に1回ほどしか検索されない検索結果のページに対して広告を貼るメリットは、ほぼありません。しかし、現在は、月に1回ほどしか検索されない検索結果のページが増加傾向にあり、無視できない存在になってきており、いかに分散傾向にあるウェブの構造に対応できるかが今後の課題となってくるでしょう。


■World Wide Web からWorld Live Webへ


World Live Webとは、ブログ検索エンジンを提供しているTechnoratiのキャッチフレーズです。GoogleやYahoo!のような検索エンジンでは通常数時間に1回の更新を行いますが、Technoratiでは、10分に1回の更新を行っています。その背景には、更新されるページの総数が増加傾向にあり、日本に限っても1分間に更新されるブログは、平均200個といわれています。まさにLiveという名の生きた更新情報を反映することが重要となってきております。また、HTMLの記述には更新情報は含まれませんが、ブログの新着情報を取得するためのフォーマットであるRSSには、最初から更新情報は含まれていますし、RSSリーダーの認知率は、43.1%を突破し、RSSリーダは、メーラー・ブラウザに次ぐアプリケーションになりつつあります。


■RSS広告の価値とは


普及しつつあるRSSへ広告を出す価値とは、何でしょう?それは、3つあると考えています。


1. リアルタイム性
2. 口コミ
3. ロングテール対応


まず最初に、リアルタイム性ですが、これは新聞などのニュースサイトのRSSで新商品が出たその瞬間に広告を挿入できることをいいます。次に、口コミですが、ブログで商品情報を口コミしたときに関連広告を挿入することをいいます。そして、最後のロングテール対応というのは、どんなに分散しているRSSでも、広告を当てに行くことが可能であるといった点が広告を出す価値と考えています。
さらに、今までよりも踏み込んだコンテンツマッチ広告にチャレンジすることも出来ます。今までの関連性の高い文字広告を自動挿入するコンテンツマッチ広告は、あくまでウェブページまるごとコンテンツマッチする形を取っており、例えばブログにグルメ関係の記事と仕事の記事とプライベートの記事が混在していると、正確なコンテンツマッチを行うことは困難でした。これに対し、RSS広告はRSSフィード(記事)単位でコンテンツマッチを行うため、グルメの記事にはグルメ関連の広告、仕事には仕事関連の広告、といった関連性の高い広告を配信することができるのです。


■RSS広告は2種類


RSS広告の種類は、2つあります。
まずひとつは、ブログのRSSをベースにコンテンツマッチを行い、ブログの横に表示する“ブログ表示型”です。次にブログとニュースサイトのRSSをベースにコンテンツマッチを行い、RSSリーダの中に表示するという形式の“リーダ表示型”です。
RSS広告社では、RSSを配信しているメディア向けに、記事に関連性の高い広告を表示する技術を提供しており、弊社ネットワーク参加メディアのRSSを読み込むと、記事の下部に広告が画像で表示されます。
現在は、リーダー表示型が一般的ですが、決してRSS広告は、RSSリーダー専用広告ではありません。弊社ではブログ表示型も開発中で、2005年8月に完成予定となっております。


■RSS広告の今後


分散しているトラフィックがゆえに、今まで通りのバナーのように、「一週間100万PV、50万円」といった価格体系は難しかったり、英語に比べて日本語解析の難しさからコンテンツマッチの精度が低い傾向にありますが、コンテンツマッチ技術の向上や今までのノウハウを活用することで、より精度の高い広告を表示することが今後できるのではないかと思っております。


                                           2005.7.22
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