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■ Report 第56回Eビジネス研究会
 
『検索エンジンのこれからを“未来検索”に見る』
〜“未来検索”を踏み台にして検索エンジンの在り方を見上げる〜
 
株式会社ライブドア
ネットメディア事業本部 ネットメディア事業部 サーチグループ 西田 光良 氏

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56回目の今回は、ライブドア株式会社の西田光良氏を迎え、ブログを対象とした「ブログ検索」を軸とする総合的な検索システム「ライブドアサーチ」についてお話いただきました。その立ち上げから、運用、戦略など、今後の検索エンジンのあり方を考える上で、後発であるが故に見えてくる未来像を大いに語っていただきました。


■未来型の検索エンジンを模索


日本には数多くの検索エンジンがありますが、中でも後発であるライブドアは、それだけにユーザーがより使いやすいものを開発しなければならないという宿命があります。現在のサイトの状況は、ウェブ検索、カテゴリ検索、ブログ検索といった最低限の機能が揃った段階で、今後はより進化した検索エンジンのあり方を模索しているところです。


その道筋において、西田氏は、検索エンジンそのものにユーザーは一体何を求めているのか? 何がしたいからそのサイトに来ているのか? というニーズを解明することがカギになるといいます。インターネットがテレビ、ラジオ、新聞などとほぼ同等のメディア媒体として認知された現在、「いかに有意義な時間をユーザーに提供できるか」ということが、未来型の検索エンジンを考える上で重要なテーマになります。


■ブログ検索に重点を置く


ライブドアでは、ウェブ検索、カテゴリ検索、ブログ検索を総称した検索システムを「ライブドアサーチ」と名づけていますが、中でも「ブログ検索」は同社の得意分野であり、これこそが未来型検索エンジンのベースになるものであると考えています。


ブログ検索とは、アラート(お知らせ)機能付きの検索エンジンで、ブログを検索対象とすることによって、より新鮮でリアルタイムな投稿記事や日記、関連情報を入手することができる特徴を持っています。今起きていることを素早く調べたいときや、共通の趣味や話題を追いかけたりするときには、従来からあるウェブサイトに比べ、より旬な情報を手に入れることができるというメリットがあります。


こうした特徴は、ブログの制作の簡便性、更新のしやすさなどに起因しているもので、ライブドアでは、ウェブサイトに比べより早い情報、正しい情報、多くの人が求める情報を提供することができると考えています。さすがに情報の質という点では、ウェブサイトにかなわない所はあるものの、ユーザーが本当に書きたいことやニュースよりも早い情報、情報に対する個人のコメントなどを知りたいといったニーズは、特に20代〜30代を中心に顕著ですので、そこに価値を置いているわけです。


■立ち上げから運用まで


ブログ検索の立ち上げ時には、「時間的に一番新しい情報を調べるための検索エンジンを作りたい」という発想が原点にあったといいます。そこから、ユーザーは検索エンジンで何を探したいのか、何に価値を見出すのか、どのような探し方をするのかという疑問が持ち上がったのです。


例えば、世界で何か事件が起こった時、ユーザーは今何が起こっているのか、どこで起こっているのか、自分にどんな影響があるのかという情報を知りたいわけで、それを探すための検索エンジンの戦略としては、更新速度の早さ、検索対象のターゲッティング、ユーザー層のターゲッティングという3つの要素が重要であると考えました。


更新速度については、現在15分に一度の割合で更新される状態を保っており、それに合わせて検索対象のターゲッティングを考える必要がありました。これについては、何かの事象に対して大きな声を出している人、アピールしている人を一早く察知し、それを知りたい人にいかに提供してあげるかという点を重視しました。


実際、運用してみて分かったことは、反響として「なぜうちのブログがサイトに上っているのか」あるいは逆に「なぜサイトに上がっていないのか」といったクレームの声や、ユーザーが情報の早さにより価値を求めているという点です。また、ブログ検索を主に利用するユーザー層は、20代〜30代が約半数を超えており、これはブログを積極的に活用している年代層とリンクしています。彼らは、社会人としてある程度の年数を経験しており、現場で戦力となっている層で、仕事やプライベートで常に新しい情報を取り入れる必要性が最も高い人々ともいえます。


■ウェブ検索との差別化が課題


では、ブログ検索は、今後どのような方向に向かっていくのでしょうか?
確かに、ウェブ検索に比べて情報の早さや個人的な情報価値という点では優位性を持っていますが、検索ということでいえば、まだまだ差別化を図る余地は残されています。


例えば、その一つが日本語の解釈です。仮にブログという単語一つ取っても、日本語には「ウェブログ、blog、ウェッブ日記……」と同じ意味で様々な表現方法があります。したがって、ユーザーがどれを入力しても均一化した情報を提供することができれば、検索の速度や使いやすさは向上します。


もう一つは、パーソナライズの向上、すなわち「ユーザーがいかに自分がほしい情報を入手できるようにするか」「ユーザーの個性を尊重するか」という点です。ブログ検索では、ユーザーがよく調べる情報をストックしたり、検索の特性を押さえておく機能を付けることができ、それをいかに検索に反映させるかということが、価値を高めることにつながります。


最後に、当然ビジネスですので収益の問題があります。検索エンジンの収益モデルの典型は、スポンサーサイトやバナーなどから上がる広告収入にありますが、ユーザーが求める正確な情報を知ることによって、それにマッチする広告を表示するという広告効果を高めることも、今後の課題として残されています。


■ 検索エンジンの今後


現在、日本には複数の検索エンジンがありますが、ライブドアには、後発だからこそ追求したい戦略というものがあります。そのキーワードは、以下の5つです。


<戦略のキーワード>


1.日本人好み
  日本語の豊富な表現方法を追求し、キーワードとして当てはめる


2.個人的価値
  個人にとって価値のある情報を提供する。個性の尊重、パーソナライズ


3.受け身でない
  ユーザーに検索の方法を提供できる、提案型の検索を可能にする


4.探しやすい
  カテゴリ検索を活用してキーワードを絞り込み、ユーザーがキーワードを
  考えなくても、カテゴリを判断するだけでよりほしい情報に近づいていける


5.旬な情報
  更新時間、頻度の向上


冒頭でも述べたとおり、インターネットが一つのメディア媒体として認知された現在、「いかに有意義な時間をユーザーに提供していくか」を考えると、その戦略は、ビジネスモデルの拡大や上記に挙げた検索機能の充実が使命であるといえます。それに収益が伴えば理想といえますが、実際はまだ少し時間がかかるでしょう。


                                            2005.8.5
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