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■ Report
  
第62回「Eビジネス研究会」                        平成17年11月24日(木) 
   
テ   ー  マ: 『楽天市場の「成功サイクル」と「成長方程式」で検証する、
          持続的成長できるネットビジネスに必要な要素とは』 
   
Eビジネス:
マイスター
楽天株式会社 取締役COO 取締役 EC事業カンパニー執行役員 (ブックス・マーチャンダイジング事業本部長 兼 ショッピングナビゲーション推進室長)
楽天ブックス株式会社 代表取締役社長
  杉原 章郎 氏
    
当日の様子はこちらから
           
当日資料は
非公開   

62回目の今回は、楽天株式会社 取締役 EC事業カンパニー執行役員、楽天ブックス株式会社社長の杉原章郎氏をお迎えして、楽天市場の成功サイクルと持続成長できるネットビジネスに必要な要素について、お話いただきました。


■楽天市場の誕生


楽天創業1年半前の96年夏――。当時、杉原氏は三木谷社長から「たくさんの事業アイディアがあるのだが、経営というものを教えてやるから一緒にやろう!」ということでお誘いを受けたそうです。オーガニックのパン屋、VIP向けのパソコン教室・・・など色々な案があったそうですが、杉原氏が最も興味を持ったのは、「出店者が自分でお店を作れるショッピングモール」という案でした。


その後、案は『楽天市場』として現実のものとなるわけですが、そもそもの立ち上げの理由は、当時、日本に20ほどあった大手のショッピングモールが、いつ見ても同じ情報が載っていたり、使い勝手が悪かったりと、あまりにユーザーの視点で作られていない印象を受けたからでした。


ネット上で誰でも簡単に自分の商品を販売でき、かつしっかり管理・運営ができる仕組みを提供したい――。そんな想いが楽天市場には込められており、RMS(Rakuten Merchant Server)の開発によって、それが可能になったのです。


しかし、実際に市場の運営を始め、集まる人が徐々に増えてくると、出店者から思わぬ指摘が出てきました。それは、「発信する情報の構築・更新・管理が容易になったことで、自分たちの商売は確かにしやすくなり、売上も上がった。けれども、それ以上に重要だったのは、楽天市場の登場によって、顧客対応に時間が割けるようになったこと、店舗展開を検討する時間が作り出せるようになったことである」というものです。


杉原氏は、この指摘に目から鱗が落ちたそうです。なぜなら、この「煩雑さと悪循環からの解放」こそが、楽天市場を利用する最大のメリットだということに、初めて気付かされたからです。それ以降、この点を強調した営業を全国各地で行ったことで、出店者はうなぎ上りになったといいます。


■さらなる成長のための「方程式」


こうした経験をもとに、ECショップが成長していくための、いわば「成功のサイクル」が描き出されました。


すなわち、(1)店舗の構築意欲→(2)ショップへの来客数が増加する、問い合わせが増える→(3)収益・売上が増える→(4)店舗の状況を分析する→(1)へひと回り成長して戻る といった成功サイクルです。これは、ECの店舗の成長に限ったことではなく、リアルの店舗でも同じことがいえると思います。


しかし、当時ECで同じことをやるには、オンラインショップ開設の煩雑さ、ページの情報更新の煩雑さ、見込み客とのコミュニケーションにおける双方向性の低さなど機能面で不十分なことも多かったため、このバリアを取り除くための機能を提供し、店舗担当者が自助努力をすれば成功できるような仕組みを作ることが、ビジネスを加速させると考えたのです。


では、楽天市場がなぜここまで成長したのか。もちろん、時流に乗った幸運もあると思いますが、杉原氏はその理由として次の4つを挙げました。


1. オンラインのスイッチボード運営に徹し、中小の正直な商売人を前面に出した
楽天は、「オンラインで出店者と買い手をつなぐ」という役割に徹し、出店者が主役であることをうまく演出することによって、買い手にも「おもしろい」というアピールができた。また、出店者自身が自分で店舗構築ができる、自分で運営するという点が成長のポイントになった。


2.買い手にとって魅力的な「買い物の場」の提供
ポイントやくじ、プレゼントなどを提供して、買い手がサイトに訪れる動機づけをした。また、セールや検索、比較、限定発売など、買い手の「買う気」を刺激する機能を付けたり、共同購入、オークション、フリーマーケットなど、「買い方」についても様々な機能を付加して魅力的な買い物の場を提供した。


3.レビューによる第三者の評価の浸透
第三者の評価としての商品レビューを載せたことで、その商品に興味を持ち、購入する人が増えた。また、リピーターを作り出し、購入者の転換率も上がった。商品が売れることによって出店者からの信頼を得ることができ、さらに人が集まる好循環が生まれた。


4.人による「サポート」の提供
店舗運営に関する問題について、「ECコンサルタント」と呼ばれる各店舗の担当者と出店者が問題を共有し、協力して解決策を見出すことによって、成長のサポートをした。さらに、こうしたノウハウは他の出店者の問題解決に活用され続けています。


■人のポテンシャルにエナジーを注入するサービス


上記をまとめると、楽天市場の戦略は以下のようになります。


1) 誰もが簡単に使える仕組みの供給により、購買率の向上につながる
2) 取引の形態・顧客の利便性の供給により、来訪者数・再来訪者数が向上する
3) 第三者的な評価の浸透により、人が人を呼び、信頼され、購入単価の向上に
   つながる
4) 何よりも人を介するサポートにより、上記3つの率や数を相乗的に引上げる


これらの取り組みが、ショッピングモール全体のトランザクションボリュームを上げ、持続的な増大へとつながったのです。
ポイントは、機能やサービスなどを通じて、ネット上に集まる出店者、買い手など「人のポテンシャルに対してエナジーを注入できるサービスか、後押しをできるサービスか」という点にあると杉原氏はいいます。
そういった意味で、楽天が提供するオークション、証券、ブログ、アフィリエイト・…など、すべてのサービスはこの点に通じています。楽天グループのウェブサービスの着眼点は、そのツールがあることで、ユーザー自身が「頑張れる」仕組みを作り、その活動の結果向上した価値からマージンをいただくという所にあります。


■すべては「楽天」に終着するためのマーケティング


楽天市場の成功で、楽天はビジネスの土台を築いたわけですが、今後はそれ以外のマーケティングの部分をさらに重視していくと杉原氏はいいます。既に野球やサッカーなどプロスポーツへの参入、アフィリエイト、OEM、外部企業との提携、買収などに取り組んでいますが、これらすべてが「楽天市場」を代表とするマーケットプレイスにお客様を終着させるためのマーケティング戦略なのです。






● 質疑応答

Q1 今後、楽天市場のレビューを充実させていくというお話がありましたが、現状あまりそうは感じません。何か具体的な対策は考えていらっしゃいますか?

A1 レビューの機能は、「楽天広場」でブログを書いているユーザーさんが最もアクティブに活用されていると思います。ですから、それをより後押しできるような経済的なインセンティブを与えたり、その人自身をネット上でPRするということを考えています。実際は、レビューに力点を置いたマーケティングというものをまだあまり行っておらず、機能も未熟であるため、レビューの内容に関する交通整理ができていない面もあります。この辺りを今後は改善していこうと思っています。


Q2 先日、リンクシェアさんの買収を行いましたが、国内のショッピングモールとはどういった形で連携をされていくのですか?

A2 リンクシェアの買収には、二つの観点があります。一つは、ECにおいてもはや不可欠となっている「アフィリエイト」に関して、独自性を持っているリンクシェアの技術をグループの中に入れたいという狙いがありました。二つ目は、楽天がかねてから視野に入れていた米国へのビジネス進出にあたって、全世界的に広がっているアフィリエイトのサービスを、RMSにこだわらずアフィリエイトの機能とバスケットの機能と簡単なブログ機能でできるECサービスを提供し、楽天のネットワークを拡大させることができるという考えからです。


Q3 楽天ブックスについてお伺いしたいと思います。本は業界的に体質が古いと思いますし、例えば価格などに関して規制があったり、粗利が薄くコストがかかって苦労されているということでしたが、本をECで売ることによるメリットや意義について教えてください。

A3 まず、本をECで売ることの意義としては、商材として単価も低く、誰もが買っているものなので、購入のハードルが低いということが挙げられます。楽天としては、本の販売を通じてお客様が楽天市場を利用してもらう「きっかけ作り」をしており、市場での買い物を楽しんでもらう入り口になればと考えています。反面、誰もが利用しやすいからこそ第一印象が大切で、配送のミス・トラブルなどが極力起きないように、物流提携会社さんとの連携を図って注意しています。

2005.11.24
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