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■ Report
  
第65回「Eビジネス研究会」                         平成18年1月27日(金) 
   
テ   ー  マ: 『Web2.0時代のインターネット広告のトレンド予測と効果的な手法について』
  〜激化するサーチエンジンと検索キーワード広告の有効な活用法〜
   
Eビジネス:
マイスター
株式会社セプテーニ 専務取締役兼COO
佐藤 光紀 氏
    
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65回目の今回は、株式会社セプテーニ 専務取締役兼COOの佐藤 光紀氏をお迎えし、Web2.0時代のインターネット広告のトレンド予測と効果的な手法についてお話いただきました。中でも、Web2.0の象徴的なサービスであるSEMやアフィリエイト、モバイルリッチメディアなどの潮流の変化について、具体的なお話を伺いました。


■インターネット広告に押し寄せるWeb2.0の波


Web2.0時代に入ってから、Webサービス全体の流れというものが一つの大きな節目を迎え、新しい波に切り替わってきています。
広告の世界では、例えばアドネットワーク1つ見ても、従来のバナーのネットワークからアフィリエイトやアドセンスのような革新的な広告体系へと進化し、それによってビジネスの規模自体も急速に拡大してきています。


また、従来のようにヤフーのトップページに広告を出すことが最たる手法といった流れから、比較的小さなサイトの集合体が大きなメディアとして存在するようになっており、明らかに広告やマーケティングの世界においても、Web2.0の波が如実に表れてきていると言えます。


そこで、ネット専業の広告会社であるセプテーニが、Web2.0の波を受けてどのように変わって来たのか。取扱い商品の推移をもとに、佐藤氏より説明していただきました。


はじめに、2004年から2005年の推移を見ていくと、全体量として取扱い高は増える中で、内訳ではWeb、メール、SEM、アフィリエイト、モバイルといった各分野のうち、特にSEM、アフィリエイトの2つが急激に伸びています。逆にメールベースの広告は、絶対値もさることながら全体として減少傾向にあり、これがネット広告の市場におけるWeb2.0の波といえます。


セプテーニの今期の売上を見ると、Web2.0とWeb1.0の比率は5:5にまで変化してきており、おそらく今後はこのシェアが逆転すると佐藤氏は見ています。こうした意味でも、ウェブ広告事業を営む企業にとっては、今年が「Web2.0元年」と言ってよいでしょう。


■キーワード広告とSEMにおける効果的な手法


次に、上記のようなWeb2.0の流れを、個別の商品やサービスの事例に落とし込んで見ていきたいと思います。


まず「SEM」については、この変化の波が最も顕著であるといえます。昨年10月のYSTの導入を境にSEOの市場自体が飛躍的に伸び、ブレークしたわけですが、加えてグーグルがアドセンスでコンテンツマッチの広告のリーチを一気に広げてきています。あるクライアントでは、出稿の半分をグーグルにシフトする先もあるそうです。


ところで、SEMやリスティング広告というものは、これまで比較的人の手によって運用される側面が大きかったわけですが、最近では検索キーワードの登録数に因る部分が大きくなってきています。これは、リーチを増やしたいというクライアントの思いを考えれば当然ですが、セプテーニではこの流れに対応するため、いわゆるリスティング広告のビット(入札)機能を自動化することによって、大量の広告管理を可能にしました。


また、検索操作において、いわゆる一般的で多数のサイトに含まれるキーワードを「ビッグワード」といいますが、このビッグワードによる検索は広告効果が低く、単価も高くなります。これに対し、複数のスモールワードを組み合わせて検索する場合は、入札が複雑になるものの費用対効果は高くなります。したがって、「スモールワード」のキーワードにおけるリーチの拡大というものが重要になってきているのです。


■アフィリエイトの世界におけるWeb2.0の流れ


Web2.0の影響について、2つ目に挙げられるのが「アフィリエイト」です。
アフィリエイトについては、ここ5年で特に運用面での変化が大きく表れてきています。大きく2つのタイプに分かれますが、1つはメディアの数を増やす運用の手法、もう1つは、顧客向けに運用のスタイルをカスタマイズしていって、どのサイトとパートナーシップを組んでいくかを精査する手法です。


セプテーニでは、昨年から専業の別会社を作って、後者のアフィリエイトの運用コンサルティングサービスを始めています。 アフィリエイトに対する注目の高まりから、クライアントのビジネスやWebサイトを十分理解した上で、どのようなサイトとパートナーシップを組むのが最も有効であるか、といった個別のネットワークづくりを、大手のECサイトを中心にコンサルティングしています。


佐藤氏によれば、Web2.0以降のアフィリエイトサービスは、ネットワーク自体がどんどん広がっていき、おそらくグーグルがその中心となって規模を拡大していくだろうと予想しています。また、そのスタンスとしては、お客様寄りのサービスがより一層重要になってくることでしょう。


さらに、近い将来、アフィリエイトの周囲では、以下のような事象が起こると予想されています。


 1. プライベートアフィリエイトの台頭
   アマゾンのアソシエイトプログラムに代表されるように、自社でアフィリエイトの
   サービスを作り、パートナーサイトをリクルーティングするスタイルのことです。
   こうした取組みを行う企業が、SEOの観点から見ても、今後増えてくるのではな
   いかということです。

 2. ワンタグ・ソリューション
   すべてのアフィリエイトプロバイダーをタグで束ねて1つに結んでいく、技術的な
   ソリューションです。特に大企業のECサイトなどの場合は、下請けのシステム
   を大きなSIに任せていて、タグを入れる費用が莫大にかかる場合があります。
   この仕組みを開発することによって、これらの問題が解消できます。


 3. Webサイトに連動したアフィリエイト
   これもアマゾンと同じですが、自社の商品データベースをそのまま提携サイトに
   吐き出していくもので、結果的に売れ筋ランキングなどの消費者動向を、提携サ
   イトに伝えていくことができます。これにより、そのサイトのコンテンツに合致し
   た広告を配信することができます。


このように、アフィリエイトの世界も様変わりしてきていることから、セプテーニでは営業力やメディアの開拓力を強化することはもちろん、技術力をより深堀りしていくことが顧客のためになると考えているそうです。


■モバイルとリッチメディア


モバイルとリッチメディアについては、Web2.0の概念とは少しかけ離れるイメージがあるかもしれませんが、Eマーケティングを考える上では、意識しておく必要があると佐藤氏は言います。


これまでモバイルに関しては、課金コンテンツと呼ばれるコンテンツビジネスが流行っていたため、どの企業もこれさえやっていればよかったといえます。また、広告に関しても、各企業はいわゆるバナー広告を中心に作ってきました。しかし、昨年辺りから、これらに加えてモバイルのSEOやアフィリエイト、比較サイト、リッチメディアなど複合的な広告やマーケティングを組み合わせる最適化モデルというものが必要になってきています。 中でも、モバイルアフィリエイトについては成長が期待されており、専業のアフィリエイト会社が伸びているということです。


次にリッチメディアマーケティングについて、現状と今後の課題を簡単にお話していただきました。ご存知のとおり、現状では「GyaO」が最も伸びているこの分野ですが、ヤフーのTVバンクのサービス開始によって、今後は全体のリーチ、ユーザーの見方、広告商品の開発の仕方なども加速するため、今年後半あたりから動画広告の波が進んでくることが予想されます。


一方で課題としては、ネット広告自体の制作のキャパシティに見合うリッチな広告ができていないという問題点が挙げられます。今後はリッチなバナーをフルに使った技術力が必要とされるということです。


■インターネット広告会社の未来予測


これまでお話してきたように、Web2.0の流れというものは、ほぼイコールでグーグルの技術思想と連動しています。したがって、グーグルの動向を常にウォッチしていくことが必要であると佐藤氏は言います。また、SEM、アフィリエイト、リッチメディアの境界線が曖昧になってきているため、ネット広告全体でどのようにコミュニケーションをとっていくのか、マーケティングをどのように行うかといった考え方も必要になります。


セプテーニでは、これらの統合型Eマーケティングを行うことによって、今後もEマーケティングを展開する企業に対するコンサルティングサービスを提供していきたいと考えています。


最後に、佐藤氏よりインターネット広告会社の未来予測をしていただきました。


Web2.0の時代に入った現在、ネットの広告会社は、「インターネットでどのように商品を売っていくのか」ということについて、クライアントに情報を提供する事業に完結するのではなく、ランディングページのオプティマイゼーション、アフィリエイトのプライベートな仕組みなどを考え、最終的にお客様の「売り場」自体をどう作っていくかということにまで踏み込んでいく必要があると言うことです。


したがって、「売り方」プラス「売り場」という2つのリソースの組み合わせによりサービスを提供していくことが、ますます重要になってくると言えるでしょう。




● 質疑応答


Q1 ビッグキーワードの単価について、現状を1として、1年後、3年後はどのくらいになると予想していますか? また、mixiなどのソーシャルネットワークの広告で先行している企業を挙げるとしたら、どちらになるでしょうか?

A1 ビッグキーワードの単価については、入札自体の波がほぼ出来上がってきていますので、今後も変わらないと思います。一方で、むしろスモールキーワードの方が対策としては重要ではないかと考えています。 SNSの広告販売については、正確には分かりませんが、当社が最も売っているのではないでしょうか。


Q2 御社の売上の比率は、現状と今後ではどう変わってきますか?

A2 Web2.0分野の広告商品のシェアが、通常のポータルやメールの扱いよりも引き続き高くなっていくと思われます。今、当社が最も力を入れているのは、アフィリエイトやSEOといった独自の技術を極めていくことです。結果的にそれが、お客様への貢献につながると考えています。


Q3 ここに来て、広告の種類の中でロケーションベースのサービスが増えていますが、これに対するセプテーニさんの施策などはありますか?

A3 注目していることとしては、APIの活用という点で、現在最も使われているのは、グーグルマップだと思います。したがって、そこにどんな広告を載せるかということは、どのネット広告代理店も考えていらっしゃると思います。地図と広告の連動に注目が集まるという意味では、ここ1、2年でPCもモバイルも含めてビジネスチャンスが生まれると思います。ローカル広告というのは、クライアントも非常に小さな予算で構成していますので、中小企業対策全般として戦略を考えていますが、その時期に関しては企業秘密です。

2006.1.27
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