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■ Report
  
第68回「Eビジネス研究会」                          平成18年3月9日(木) 
   
テ   ー  マ:          『60分で理解するWEB2.0』
 〜未だはっきりしないWEB2.0を体感して、理解する60分〜
   
Eビジネス:
マイスター
株式会社WEB2.0 技術統括マネージャー
佐藤 匡彦 氏
    
当日の様子はこちらから 当日の資料(抜粋版)はこちらから
               

68回目の今回は、株式会社WEB2.0 技術統括マネージャーの佐藤匡彦氏をお迎えして、インターネット業界でいま最も注目を集めるキーワードである「Web2.0」について、ユーザーの視点から見た文化の変化をお話いただきました。


■アイデンティティの有無が「Web2.0」の鍵


そもそも「Web2.0」という言葉の語源は、アメリカの出版社のティム・オライリーという人物が、インターネットの中で起きている新しい変化全体を総称して名づけたものです。したがって、その定義の幅はあまりに広く、明確ではありません。「Web2.0」という言葉よりも、むしろそこで起きている変化の方が重要だということです。


「Web2.0」のキーポイントは、「アイデンティティがそこに存在するかどうか」であると佐藤氏はいいます。例えば、無記名で書かれた掲示板などは、あるテーマに沿って、ただ何となく誰かが書き込んだコメントがあるだけで、そこにはアイデンティティが存在しないので「Web2.0」とはいえません。むしろ、「Web1.0」的な存在です。


それに対し、ブログのように誰が書いたものなのか、その人がどんな人なのかがはっきり分かり、その情報を誰もが共有できるようなものが「Web2.0」の概念なのです。


これまでのインターネットの世界におけるアイデンティティとは、ユーザーIDやパスワードでした。しかし、現在ではその概念が大きく変化しており、「Web2.0」では、次の4つのキーワードで表現することができます。


1.作成・・・誰が作成したものなのか
2.発信・・・誰が情報発信しているのか
3.引用/利用・・・誰が引用したり、利用しているのか
4.評価・・・誰がどのような評価をしているのか


■個人の発言力が高まる時代に



では、上記のキーワードについて、具体的に見ていきましょう。


1.「作成」については、「Web2.0」に関するキーワードの派生として「Consumer generated contents」という考え方を、WEB2.0社では用いています。これは、インターネットを利用するユーザーが増え続ける中で、ユーザーがBy name(自分の名前)でコンテンツを作成することをいいます。
最近では、こうしたBy nameコンテンツを配信する時に、より簡単に、しかも検索性も高めてくれるフォーマットも登場しています。「micro formats」などがその代表ですが、ネット上に配信される情報を構造化することによって、検索性、再利用性を高めるためのフォーマットで、日付情報、制作者のプロフィール、ライセンスの表記、検索ロボットへのクロール指示、タグの宣言、投票用リンクの宣言、友人・知人関係の表現などができます。


2.「発信」については、ブログなどの編集しやすいプラットフォームが登場したことにより、常にコンシューマーが持っている情報やコンテンツが、世の中に溢れ出しています。もちろん、その中には質の高いもの、低いもの様々なものがありますが、共通するのは発信者のプロフィールを表示することによって、誰が情報発信をしているのかが分かるということです。


3.「引用/利用」については、特にオンライン上のコンテンツの著作権に関して、一つの流れとして「Creative commons」というものが動き出しています。
これは、写真や動画、ブログなどで情報発信する時に、そのコンテンツの配信内容を作成者が管理・制限するものです。基本的に著作権というのは、著作者に全て依存されますので、どの範囲まで引用/利用を許可するかという線引が必要です。最近では、日本国内でも「Creative commons」の利用を表明している企業や個人が増えています。

 
4.「評価」については、ユーザーがコンテンツを評価していくということが、今後ますます重要になってくると佐藤氏はいいます。様々なユーザーがネット上で情報発信をしている昨今においては、そのサイトの「信用」が要求されます。今までインターネットの世界では、サイトの評価はSEOによる検索上位の評価などによって決まっていました。
 それに対して、現在のユーザの評価軸としては、「既存のメディアの評価軸」に向かって動いていると佐藤氏はいいます。例えば、テレビであれば視聴率、雑誌であれば販売部数、新聞であれば契約世帯数といったものがそのメディアの評価指標となるわけですが、インターネットの場合は、「ブログからの被リンク数」などが評価の指標となっていくのではないでしょうか。
 ユーザーが発言力を持ち、メディアとしてのインターネットを使いこなす傾向にある現在、ユーザー間の評判がサイトの評価に直結する傾向が高まっています。大企業がどんなに大きな資本力を持ってしても、ブログの影響力に太刀打ちできないということもあり得るのです。


以上をまとめると、今のインターネットの流れとして、個人がアイデンティティを持って情報発信する機会が増えており、しかもそうした個人の発言力が高まってきている、こうした変化がWeb2.0の特徴といえるのです。


■Web2.0のサービス提供における課題


このように、ユーザーが影響力を持ってきたインターネット社会の中で、次に、企業にとってのWeb2.0的な課題について見ていきます。


1つ目のキーワードは、「ロングテール」です。これは、インターネットがニッチなニーズへの対応を可能にしたことで、商品の寿命が細く、長くなったことを意味しています。


現在では、この流れによって、2割の売れ筋商品が売上全体の8割を稼ぐという、いわゆる「パレートの法則」が既に崩壊しています。どう崩壊しているかというと、企業の商材を大量に売れる商品(Body)と一部の人にだけ売れる商品(Tail)に分けて考えた時、(Body)となる商品は少なくても、(Tail)の商品で品揃えを増やすほど、売上は積み上がるという仮説が現実のものとなっているのです。


例えば、アマゾンの売上の半分以上を占めるのは、この(Tail)の商品だという話もあります。では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは、インターネットにおいて、コンシューマーがブログなどで発信する情報量が倍増している中で、今まで自分がほしかったけれども収集できなかった情報が、ネット上のどこかに埋もれているという状況が起こっているからです。


つまり、情報量が増えていくことによって、個々人の持っているニッチなニーズを掘り起こす結果になっているのです。アマゾンの場合は、それが売上につながっているわけで、ニッチな情報をたくさん集めた方が収益が上がるというわけです。企業は、2割の売れ筋商品に集中するだけでなく、8割のニッチマーケットにも目配りをしながら、それに合ったニーズを発掘していくことが必要だと佐藤氏はいいます。  


今後、皆さんがインターネットで何かサービスを作ろうと考える時には、これまで述べてきたように、「ユーザーがアイデンティティを持ってきている」という変化を念頭に置く必要があります。


Web2.0とは、平たく言うと、ユーザーがインターネットを使いこなすことによって発生している、ユーザー主導型の現象です。したがって、真の意味でユーザーにとって素晴らしい体験とサービスを提供していかない限り、アイデンティティを持った彼らに支持されることはない、と佐藤氏はいいます。




● 質疑応答


Q1 「Web2.0」の考え方について、もう少し具体的に知りたいのですが、いわゆる、昔はやった言葉で「ニューメディア」「マルチメディア」「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」などと比べて、どのように違うのでしょうか?

A1 マーケティングとかメディアがどうだという話は、企業側からコンシューマーに対して投げつけるメソッドのような気がします。そこでは、確かに対話が行われるのかもしれませんが、あくまで企業側から与える話でしかないのです。それに対し「Web2.0」の場合は、あくまでそのメソッドはユーザー側が持っている、ユーザーが主導権を持っている世界なのです。すなわち、主従関係が逆転したといえると思います。


Q2 「Web2.0」の流れが今後も進んでいくと、今までの業界・業種という概念がどんどん崩壊していくような気がします。そんな中で、佐藤さん自身が注目しているビジネスや会社があれば教えてください。

A2 正直に言うと、あまりそういう視点で見てはいないのですが、インターネットの中で、本当にそのサイトが「ユーザーに愛されているか」ということが大事だと思います。そういう意味では、現在でも多くのユーザに愛され、利用されているサービスは多々あると思います。我々も真似できるところは真似して、足りないところは補っていこうと思います。


Q3 「Web2.0」というのは、実際のところ儲かるビジネスモデルなのかという疑問があります。そこで、例えば広告モデル以外に儲かるビジネスモデルがあれば教えてください。それから、先ほど「Web2.0」の世界では、ユーザーと企業の力関係が逆転するという話がありましたが、国や地域によっては逆転するところまではいかない気もしますが、いかがでしょうか?

A3 「Web2.0」というのは、インターネットの流れの中でまだ端境期にあり、一部の人たちの間で話題になっているに過ぎません。ですから、ビジネスと言う観点では今しばらく既存の形態が主流となるのではないでしょうか?その理由は、ユーザーやクライアントの方々の認知がWEB2.0になっていないため、新しすぎるものにお金を払ってくれない可能性があるからです。
2つ目の質問については、ユーザーと企業の力関係が逆転するという極端な言い方をしたのですが、正確にいうとパワーバランスが変わるということです。今後は、企業よりも発言力を持つ個人が存在してくることも大いにありえると思います。

2006.3.9
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