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■ Report
  
第69回「Eビジネス研究会」                         平成18年3月24日(金) 
   
テ   ー  マ:    『1日で分かる!決定版、SEMの最新事情と成功の秘訣』
〜SEOの第一人者が語る 検索エンジンマーケティングの極意とは〜
   
Eビジネス:
マイスター
株式会社アイレップ サーチエンジンマーケティング総合研究所
所長 渡辺 隆広 氏
    
当日の様子はこちらから
             
当日資料は
非公開   

69回目の今回は、株式会社アイレップ サーチエンジンマーケティング総合研究所 所長の渡辺隆広氏をお迎えして、SEO、SEM対策の基本的な考え方と実践的な手法についてお話いただきました。
 

SEO(検索エンジン最適化)とは、GoogleやYahooといった検索エンジンにおいて、関連するキーワードから自身のホームページ、ウェブサイトが上位に表示されるようにすること、およびその技術をいいます。そのためには、ホームページ自体の改善やホームページへのリンクが重要となります。  


SEMとは、検索エンジンを広告媒体として積極的に活用するマーケティング手法です。したがって、SEOもこの一手法ということになります。今回は、主にSEM担当者の視点から見た有効な対策について、解説していただきました。


■自動入札システムとは


検索連動型広告の運用において有効な手法の一つに、「自動入札システム」があります。自動入札システムとは、広告の入札管理や検索順位の設定を自動的に行うためのソフトウェアです。例えば、あるキーワードに対する広告単価を決めたり、検索順位を上位にキープするための入札管理は人の手作業で行われる場合が多いのですが、自動入札システムを使えばそれらを自動で行うことができます。したがって、広告管理のための人手がいらなくなる、というメリットがあります。


現在、検索連動型広告に大きな投資をしている企業では、キーワードを数万、数十万単位で登録しており、その管理をするためには、このようなシステムが必要となります。アメリカでは、2000年頃には既に自動入札システムが使われています。現状はアメリカのシステムの方が完成度が高く、非常に細かな管理が可能です。日本市場は、アメリカの大手企業による参入が著しい状況ですが、今年あたりから日本企業も独自の自動検索システムをリリースしてくることが予想されています。


では、自動入札システムによる広告管理とは、具体的にどのように行われるのでしょうか。「ルールベース・マーケティング」(Rule-Based Marketing)といわれますが、予め定められたルールに従って、ツールが自動的に入札を行います。例えば、単純にいうと「検索順位の1位をキープするためなら、150円まで入札単価を自由に変動してもよい」といったルールを設定したり、複雑なものになると「CPA(顧客獲得単価)が500円以下になるように、入札価格を管理する」といった設定も可能です。


自動入札システムを使えば、人による入札管理が必要なくなるため、一見メリット面ばかりに目が行きがちですが、結局は複雑なルールを設定しようとすればするほど高度な運用スキルが必要となるため、一概に負担が減ることはないということも覚えておいてほしいと渡辺氏はいいます。


■ランディングページ最適化


二つ目の手法として、「ランディングページの最適化」が挙げられます。
これは、アドワーズ広告やスポンサードサーチの広告をクリックした後に、最初に見るページ(ランディングページ)をシステム的に最適化するというものです。


なぜ、いまこの手法が注目されているかというと、検索連動型広告の費用タイ効果を高めたいという広告主のニーズの高まりと、バナー広告やメルマガをクリックしたユーザーと、検索をしているユーザーがクリックした条件には明らかに違いがあり、それらの違いを認識し、ページを最適化する必要性が明らかになってきたからです。


一般的に、検索ユーザーは、検索表示されたページの中に自分の求める情報がなければ、5秒〜8秒でその場を去っていくといわれています。したがって、ユーザーが求めるものにぴったりと合致した情報をランディングページに掲載することが重要なのです。しばしば、求める情報が一発で表示されないのは、検索エンジンに問題があるからだという人がいますが、決してそんなことはありません。むしろ、そのサイトの作り方が間違っている場合が多いと渡辺氏はいいます。


検索キーワードについても、ユーザーは自分の中で発生した問題やニーズを解決するために検索をするわけです。目的がない人は検索をしません。つまり、検索キーワードとは、ユーザーの「検索意図」(インテント)を表現したものなのです。Webサイト運営者はその意図を汲み取って、ランディングページを作ることが基本です。


また、ランディングページには、検索キーワードと同じ言葉を入れれば良いと考えている人もまだ多いようですが、これは誤りです。ランディングページに必要なのは、そのユーザーが使ったキーワードではなく、ユーザーのニーズを満たす、問題を解決するページですから、それらをランディングページに組み込むことが必要なのです。


■検索エンジン最適化(SEO)


SEMの代表的存在ともいえるのが、SEOです。昨年10月にYahooでは、 エンジンをYSTへ変更しましたが、その結果、SEOに関しては次の3つのポイントが挙げられます。


  1. ディレクトリが表示されなくなってしまった
  2. リスティング広告の誘導可能性が増えた
  3. ウェブ検索が増えてきた


Yahoo検索のSEOは、基本的にYahoo.co.jpの検索カテゴリーに登録することが必須です。この理由は、ヤフードメインからのリンクは高く評価する傾向にあるからです。


■Web2.0とSEO


次にロングテールとSEOについてです。一般的に良いSEOとは、SEOを行った結果、時間の経過とともに一誘導あたりのコストは下がり続け、トラフィックは上がっていくというものです。
検索連動型広告に限れば、キーワードの登録数を増やすという簡単な手法がよく用いられますが、Web2.0の高まりとは逆に、日本のSEO会社でロングテールを実践している会社は非常に少ないと渡辺氏はいいます。


一般的にSEOというと、リンクを増やせばよいと思っている方がまだ多く、ほとんどの方は自分がベストだと思う検索回数の多いキーワードを上位に掲げるだけなので、いつまでたってもコストが下がらないという事態に陥ってしまうのです。 しかし、webのアーキテクチャーのコンテンツを最適化させることによって、メンテナンスをせず放っておいても順位は落ちないようなSEOというものができるのです。
例えばアマゾンの場合は、アーキテクチャーとコンテンツの最適化において、アフィリエイトのリンクがアマゾンにすべて張られていたり、APIを公開してコンテンツを自由に使わせることで、そこからリンクを増やすというように、アマゾンは自らSEOをしなくても、ユーザーがSEOをしてくれる仕組みを作っているという点で優れています。


次に、いま話題になっているWeb2.0という観点からSEOを考えてみたいと思います。Web2.0的な検索の代表として、「ソーシャル検索」というものがあります。これは、ソーシャルネットワークの要素に検索要素を組み合わせたものです。今後、これがどれだけ普及するかは分かりませんし、現状では必ずしもよいものであるとは言い切れません。
検索エンジンのアルゴリズムの世界では、グーグル、Yahoo、MSNすべてが、外部からのリンクの数、質、関連性において評価をしているのですが、問題はスパムが横行しすぎているということが挙げられます。ですから、こうしたソーシャル検索がどこまで伸びるかは未知数といえるのです。


以上のとおり、SEOをうまく運営するためには「アマゾン」のように、自分たちでその仕組みを作るということが成功要因です。また、Web2.0が騒がれる中で、SEOを行う主体をサイトの運営者だけでなく、「ユーザーの手によるユーザー参加型の体制にすること」が重要だと渡辺氏はいいます。




● 質疑応答


Q1 リスティング広告の価格がどんどん上がっていますが、このまま上がり続けてしまうと、コスト的に合わなくなるような気がします。この点について、渡辺さんはどのようにお考えになっていますか?

A1 アメリカでは実際に起こっていることなのですが、ある程度価格が上が ると、誰もがリスティングをやらなくなってしまいます。したがって、 その時点で一定以上価格は上がらなくなります。日本でも、今後同様の 現象が起こり得ると思います。


Q2 Overtureのツールとして「オムニチュア」を紹介していただきましたが、これ以外に、ある程度安価で、使いやすいツールがあれば教えてください。

A2 アメリカと日本では全く異なるのですが、アメリカの場合は一般の広告主が自由にこうしたツールを使えます。しかし、日本の場合は特定の広告代理店さんを通さないと使えないのが現状です。広告代理店さんと契約をした場合に使えるツールというものはあるのですが、皆さんが代理店を通さずに使えるツールは現状まずありません。 これは、日本のOvertureの政策上の問題で、一般に公開をしていないので使えないという理由です。アメリカの場合は、もっとたくさんツールがあるのですが、業者が日本のOvertureに対応していません。


Q3 検索結果を上位にするために、意味のないサイトを大量に構築している 会社を目にしたことがありますが、これはスパムではないのでしょうか ?

A3 結論から先に言えば、これはスパムです。こういった中身のないコンテ ンツを「スクラップコンテンツ」といいますが、こういったサイトを大 量に構築していた場合、例えばグーグルでは、おそらく自動的にスパム を排除するシステムには引っかからないと思いますが、人の目で見た時 にマニュアル的に排除することになると思います。

2006.3.24
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