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■ Report
  
第71回「Eビジネス研究会」                         平成18年4月21日(金) 
   
テ   ー  マ:  『インターネットビジネスにおけるBtoCビジネス戦略〜
                        成功のシナリオを探る!』
    〜オンラインゲームとコミュニティのサービス戦略〜
   
Eビジネス:
マイスター
NHN Japan株式会社
取締役兼COO 森川 亮 氏
    
当日の様子はこちらから 当日の資料(抜粋版)はこちらから
               

71回目の今回は、NHN Japan株式会社 取締役兼COOの森川 亮氏をお迎えして、オンラインゲームとコミュニティのサービス戦略についてお話いただきました。


■オンラインゲームとコミュニティビジネスの概況



日本におけるインターネットビジネスは、93年頃から始まりました。当初は、ブラウザのビジネスやISPのビジネスが注目を集めました。その後、98年頃にいわゆる「ネットバブル」と呼ばれる時期が到来し、検索ポータル、Eコマース、オークション、バナー広告、ASPなどの事業が成長してきました。いま残っている大手企業は、ほぼこの頃にIPOしました。


一方、韓国では、99年にゲームポータルの「ハンゲーム」がサービスを開始しました。その後、日本ではネットバブルがはじけましたが、2001年からブロードバンドが急速に普及し、ADSL、オンラインの金融サービス、キーワード広告といったものが登場して、再びインターネットビジネスは活況を取り戻しました。
 

その頃、韓国では、2000年に「Sayclub」というチャットのサービスが大ブレークして、世界ではじめてアバターの有料化が行われました。したがって、インターネットのコンテンツビジネスにおいては、サービスの状況を鑑みると日本より韓国の方が約3年先行しているといえると思います。


その後、2005年頃になって、日本でもようやくオンラインのエンターテイメントというものが話題になりました。そしてブログやSNS、またオンラインゲームの分野でもIPOする会社が出てきました。その一方で、韓国では「サイワールド」というミニホムピィのサービスが、会員1,000万人を超える規模にまで成長してきています。


■オンラインゲームとは



はじめに、オンラインゲームについて森川氏に簡単に説明していただきました。まずはパッケージゲームとの違いを見ていきます。


パッケージゲームは、ゲームソフトは有料ですが、その後何度遊んでも無料という点、一人で遊ぶという点、ソフトを購入した後のバージョンアップはない、という点が一般的な特徴です。
 

一方、オンラインゲームは、ゲームソフトは無料で、最近はアイテムのサービスになると基本料金も無料というケースが増えています。基本的に複数の人数で遊び、ソフトはどんどんバージョンアップされる点が特徴です。
作り手側にとっては、パッケージゲームの場合、一度ソフトを制作してしまえば、その後収入はさほど入ってこないのですが、オンラインゲームの場合は、ゲームをリリースして最初はお金が全く入ってこないものの、その後会員が増えてくると収入が増えてくるビジネスモデルになっています。つまり、「作るまで」よりも「リリースしてから」が本当の勝負といえます。
 

次に、オンラインゲームとゲームポータルの違いについてです。
簡単にいえば、オンラインゲームを商品とすると、ゲームポータルはその商品を並べる「売場」と思って下さい。ゲームポータルでは、様々なゲームを並べて、一度会員登録をすると複数のゲームで遊べるように、会員登録、課金決済、コミュニティツールといったものがセットで機能として付いてきます。


一方、オンラインゲームのジャンルは、大きく3つに分かれています。1つは、麻雀や大富豪など誰もが知っているようなゲームで、これらを「Webボードゲーム」といいます。さらに、「カジュアルゲーム」と「MMORPG」というジャンルがあります。


カジュアルゲームとは、スポーツやアクションといったジャンルのゲームです。多くは、ビジネスモデルとしてまず無料で提供して、その中で使うアイテムを有料で販売するスタイルが一般的です。特に、いま韓国で最も注目されているカジュアルゲームは、バスケットボールゲームの「フリースタイル」やカーアクションゲームの「カートライダー」などです。
 

MMORPGとは、「ファイナルファンタジーXI」のような、同時に多人数が接続して楽しむRPGゲームです。ゲーム内で仲間を集って敵を一緒に倒したり、アイテムを交換したりするタイプが非常にはやっています。大型のMMORPGのゲームは、パッケージの販売や月額の利用料金のビジネスモデルが多いのですが、最近ではアイテム課金のビジネスが増えてきています。


■韓国のオンラインゲーム市場  


韓国のゲーム市場は、圧倒的にオンラインゲームの人気が高くなっています。2005年度は、約1,324億円程度の市場規模があり、今後さらに拡大していく予測です。

 
一方、日本の市場は先に述べた「ハンゲーム」の活躍がまずあり、最近では
韓国の企業が参入してきています。また、2003年にはXboxがオンラインサービスを開始し、PS2もつながりました。その後、2005年にはオンラインゲームの会社がIPOを果たしたり、最近ではコナミやセガのようなメーカーがオンラインゲームのポータルを立ち上げたりと、めまぐるしくマーケットが変化しています。


市場全体としては、オンラインゲーム1タイトルあたりで有料課金登録が30万人を超える規模にまで成長してきており、今後は大手ゲームメーカーもオンラインの市場に参入してくることが予想されます。市場規模は、昨年1年間で約500億円、成長率30〜40%を見せており、2010年には1,000億円を超えるという見方もあります。


■コミュニティサービスの市場



現在、一般的にサービスが開始されているコミュニティサービスには、ブログ、SNSなどがありますが、ビジネスモデルとしては、広告や付加機能によって成り立っています。


一方で、韓国では「ミニホムピィ」と「カフェ」と呼ばれるサークルサービスに人気があります。特に「ミニホムピー」は、タブをクリックするだけで日記やプロフィール、写真などの切り替えが行える仕組みになっており、若年層やインターネットの初心者を中心に圧倒的に支持されました。昨年、日本でもサービスが開始され、順調に利用者が増えているといいます。
後者の「カフェ」については、趣味や興味の共通する仲間と情報を交換するサークルサービスです。人気があるサークルは何万人もの登録者を集めており、広告媒体としても注目されています。

 
■BtoCビジネス戦略のポイント


最後に今回のまとめとして、インターネットビジネス、中でもコンテンツビジネスにおけるBtoCモデルの成功要因について、森川氏にお話いただきました。
 

コンテンツは、一昔前までパッケージでサービスが提供されていましたが、インターネットが普及するにしたがって、音楽や映像のダウンロードサービスなども始まりました。
最近では、アイテム課金のビジネスが登場していますが、ダウンロード販売とアイテム課金では、まったくスタイルが異なります。つまり、コンテンツというものにお金を払うスタイルからコンテンツを楽しむ時間や、コンテンツがあるという環境にお金を払うスタイルに変化してきています。
 

特にアイテム課金は、いま最も注目を集めるサービスです。このポイントは、ネットの中で展開される人間関係の中で、「どれだけ自分が人からよく見られるか」という『印象』にあると森川氏はいいます。つまり、商品に対してお金を払うものではなく、商品をもらった時の気分そのものにお金を払うというところが、今までの価値観と大きく異なります。


ですから、お客様がアイテムを使う「場」に対してどれだけロイヤリティを持っているかが、戦略上のポイントになってきます。 インターネットビジネスにおけるBtoCモデルの成功要因には、大きく2つの要因があると森川氏はいいます。基本となるのは、コミュニティと呼ばれる「場」であり、人間が生きている以上、人が集まる「場」というものがビジネスのベースになるといいます。しかし、この「場」がバーチャルなのかリアルなのかによって、ビジネスモデルは大きく変わってきます。

 
コミュニティに人が集まると、そこに色々なニーズが湧き上がり、そのどれもがコンテンツになり得ると思います。バーチャルの「場」の場合は、先に述べたとおり、どんどんロイヤリティを高めていくことが重要になります。すると、そのコミュニティにおいて、自分が人からよく見られるためのアイテムに価値が置かれるようになります。
 一方、リアルなコミュニティの場合は、現実の商品やサービスを紹介して購買につなげるモデルになります。今後は金融や教育の分野において、様々なサービスがロングテールで発展してくるのではないか、と森川氏はいいます。





● 質疑応答


Q1 オンラインゲームのユーザー層について、最初にターゲッティングした層と、実際に運営して見えてきた層の課金の戦略について教えてください。

A1 どちらかといえば、私どもは当初、ゲーム好きなコアなお客様がサービスを利用すると思っていたのですが、実際にサービスを開始してみるとゲームをやっているのは若年層の方々でした。オンラインサービスに抵抗がなかったり、お金があまりないから無料でゲームをしたいという方が多かったのかと思います。あとは主婦の方も多く利用いただいています。課金は現在、クレジットカード、電子マネー、携帯決済、コンビニ決済、銀行決済があるのですが、ここ最近はコンビニ決済が増えています。おそらく、お子さんがご両親と一緒に遊んでいるケースが多いのではないかと想定しています


Q2 コミュニティについては、有料化するときにお客さんが離れていくという不安があると思います。NHN Japanさんでは、そうした顧客離れを防ぐために何か工夫されていることはありますか?

A2 一言でいうと、コミュニティというのはビジネスというよりも「お客様へのサービスマインド」が大事なんだと私は思います。私どもではコミュニティの運営を、一つの「国」を運営しているようなものと考えて、課金は「税金」をもらうようなイメージだと思います。一般的なビジネスと異なるのは、そこに集まる人たちが、積極的にその場を盛り上げていこうという意気込みがあることです。そうなってくると、お金を取る、取らないが関係なくなってくるようになります。ですから、今は「場」を育てながらそこに集まる人を増やしてビジネスを展開しているというイメージでしょうか。


Q3 「ハンゲーム」と「CURURU」のターゲットの違いというのは、あるのでしょうか?

A3 ターゲットは一緒です。ただし、見え方やコミュニティの性質が違うのです。
「ハンゲーム」はゲームを基点とした完全匿名性のバーチャルなコミュニティです。そのため、“普段と違う自分”を楽しんでもらうことも可能です。
一方「CURURU」は、オンライン/オフラインの両面で人間関係の輪を広げるオンライン・コミュニティサービスですので、普段の自分を出して楽しんでいただくことができることが両者の違いです。

2006.4.21
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