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■ Report
  
第73回「Eビジネス研究会」                         平成18年5月26日(金) 
   
テ   ー  マ:  『“共感”を醸成するCGMソリューションとその未来』
   
Eビジネス:
マイスター
株式会社関心空間
代表取締役 前田 邦宏 氏
    
当日の様子はこちらから 当日の資料(抜粋版)はこちらから
               

73回目の今回は、株式会社関心空間 代表取締役の前田邦宏氏をお迎えして、ブログやSNSなどの「消費者発信型メディア(Consumer Generated Media:以下CGM)」を活用した広告戦略やマーケティング戦略についてお話いただきました。


■ユーザーが作るメディアの価値



「関心空間」とは、株式会社関心空間(以下「関心空間社」)が運営するCGM、口コミコミュニティのサイト名(以下「関心.com」)であり、また関心空間社が展開するASP事業名です。

同社では、関心空間事業を通じて、オンライン上で自分と他人の関心ごとを共有し、その違いや共通点を見つけ、新しい関連情報やよりコアな情報、価値観との出会いを楽しみ、それらをデータとしても蓄積させる仕組みを提供しています。


関心空間社は、2001年に自社のショーケースサイトとして「関心.com」を立ち上げ、その翌年より、各法人に関心空間エンジンを貸し出すASP事業を始めました。利用の形態は、社内におけるナレッジソリューションもあれば、顧客のロイヤリティ向上を目指す公開コミュニティなど様々です。現在までに法人、個人あわせて百個以上のコミュニティがこのプラットフォームを使っています。


その後、それら多くのコミュニティの構築や運用支援と同時進行で、自社が運営する「関心.com」のサイト価値を高めていく社内プロジェクトを進め、昨年末にはそのメディア価値を更に上げ、独自のメディアビジネスを展開するため、計4社から出資を受けてメディア事業へと乗り出しました。


「関心.com」は、サイトの機能として掲示板やナレッジソリューション、メディア等の様々な要素が混在するため、発表当初は定義づけが難しいサイトでしたが、後に登場するブログやSNS等の「エンドユーザーが作るメディア価値」が社会で重要視されるようになってきた昨今、それらCGMのオリジネーターとして高く評価されています。


■コンテクスト生成型メディアの価値



前田氏は、関心空間社がメディア事業の可能性を探るきっかけの一つは、関心空間エンジンとGoogleのアドセンス広告とのマッチング率の高さだったと言います。


ブログやSNSが投稿内容を基本的に時系列で表示するのに対し、「関心.com」では投稿エントリーの基本単位を一つの「キーワード」としています。また各キーワードは自分が人におすすめしたい情報とし、かつ “商品名やサービス名、場所”の固有名詞をタイトルとしてそれを紹介することを基本スタンスとするため、投稿内容のほとんどが紹介型の情報になります。また、紹介文の内容も商品などの基本情報に加え、それに対するユーザーの「思い入れ」の部分が熱く書かれているため、レビューに近い内容のエントリー文になります。


一方、Google側のシステムは、文脈を読み取ることで、より適切な広告を表示する仕組みとなっているため、「関心.com」はCGMの中でもブログなどに比べて、Google側から見ると分析しやすいサイトであるといえます。「関心.com」のメディア事業開発にあたり、前田氏はサイトが持つ「CTRの高さ」に注目したと言います。


■人の「関心」を基にした“気になる”が“つながる”コミュニケーション  


上記のような関心空間社のメディア戦略は、「通常のブログやSNSと違った価値をいかに作り出すか」という発想からスタートしました。そして、最もその特徴を表わすのが「つながり」という機能です。  


ブログなどのトラックバックが、ある議題に関して意見を投げかけるようなディスカッション型のコミュニティであるのに対して、「つながり」機能は、ある人が感じた商品などの魅力を他の人に掲示板のようなスタイルで伝えていったり、それに関連する他の商品等のキーワードを紹介したりというように、人の「関心」をベースとしたレコメンド型のコミュニケーションになっています。


これによって、ユーザーは当初自分が持っていた関心ごとや興味ある分野の知識を深めつつ、時に意外な「つながり」によりその枠やカテゴリを越え新たな関心ごとを持つようになります。それが更に検索などの行為につながり、結果として「関心.com」を通じてユーザーの中に新たな購買動機が生まれます。これはCGMの中でも特に“商品”や“サービス”などのおすすめ情報が投稿されるコンセプトと「つながり」機能の効果による動きで、この“つながり”の連鎖こそが「関心.com」をほかのCGMと差別化する魅力だと前田氏はいいます。    


基本的にネットのビジネスというのは、これまで売りたい人と買いたい人のマッチングを行い、その最短化を図ることが収益につながってきました。そして、常にその中心にいるのは大手のポータルです。


これに対し、「関心.com」はCGMの機能を使って、買いたい人と売りたい人の間に立ち、買いたい人の欲しい情報や更に潜在的な購買意欲を掘り起こし、売りたい人の販売を支援する「代理店」のような役割を担っています。消費者の購買動機作りを後押ししたり、買いたいのに見つからないものを誰かが教えてあげるという意味では、オークションサイトやショッピングサーチエンジン、価格比較サイト、Q&Aコミュニティなどに近い働きをするともいえます。  


では、これらのネットメディアが広告という観点で、既存のマスメディアと異なるのは、どのような点でしょうか。 基本的にマスメディアの場合はプッシュ型の広告です。今まで全くその商品を知らない人も前提にして、ある意味一方的に、でも非常に多くの人へ、短く、心に残るメッセージとイメージで情報を送るメディアとして有効です。またマス広告の出稿には多大なコストがかかります。


一方、ネットメディアでは、検索や投稿などを通じて既にある程度ターゲットを絞り込んだ、興味や意識の高い消費者に向けて、長期間に渡りかつ様々な角度や視点で商品のよさや特徴を啓蒙できたり、スピーディー&低コストで広告を出せたりという点で、優位性があると言えます。  


関心空間社はそのメディア事業で、消費者と企業や広告の作り手の間に入り、両方の立場に近づいて相互のコミュニケーションを図っていく機能として、CGMサイトの価値を高めていきたいと考えています。企業が商品の魅力を「共感」を通して伝えたい人にアピールする手段という意味では、「宣伝」より「広報」に近いスタンスといえるかもしれません。


■ユーザー参加型の広告戦略  


ブログやSNSも同様ですが、CGMは性善説に則った動きをしていると前田氏はいいます。つまり、そこにエントリーしてくるユーザーは、多少悪意があったとしても、自分のいいたいことや価値観に対して同意してほしいという人の集まりなのです。コントロールが難しいメディアとしてCGMの活用を躊躇する声も聞くことがありますが、そうしたユーザーの基本的な気持ちを理解できれば、CGMの活用は企業にとって決して難しいものではありません。    


関心空間社が、様々な事例を通してこれら事実を理解するなかで確立されたものの一つが「ユーザー参加型口コミ広告」という独自の広告手法です。我々は当初口コミと広告は相反する立場にある者だろうと考えていました。が、ユーザーが情報を投稿しているときの、価値観やライフスタイル、ポリシーや背景を、消費者と企業や広告主がきちんと共有してコミュニケーションすることができれば、口コミと広告に大きな違いはなくなり、ユーザーの投稿をユーザー参加型の広告戦略として応用することができます。


■CGMをマーケティングに活用する  


CGMでは、口コミなどの活用をマーケティング的な側面で語られることも多いのですが、本来、口コミというのは自発的で自由なものです。自発的に発信するユーザー側は、自分の書き込みの受け手が、個人であろうと法人であろうと、そのメッセージや行動はあまり変わらないという特徴があります。


「関心.com」では、口コミを投稿してくれるユーザーに対して、直接的なインセンティブを用意していません。それは、彼らがまず自分の関心事を発信すること自体に喜びを通じ、また自分の発信する関心ごとの価値を通じて、自分と関心や興味の範囲が似ている他人や、その周辺情報との新たな出会いを求めて投稿しているからです。そのため、関心空間社としては、今後もユーザーのそうした動機や欲求を満たすためのより良い「場」を提供できるようなユーザビリティの向上や機能開発が自分たちの責務と考えていると前田氏はいいます。また、企業や広告主に対しては、広告戦略として現在は関心事が近いユーザー同士をマッチングさせていますが、今後はその「場」に対して広告を出すことも考えているそうです。  


結びに、前田氏から以下のお話がありました。  
「関心空間社はCGMのメディア事業者として、ユーザーや消費者、そして企業の間に立ち、それぞれに喜びやメリットとして提供できることは何かを考えながら今後もCGMとしての「関心.com」を育てていきたいと考えています。ユーザーにとっては情報価値が非常に高い口コミ情報サイトとして。一方、企業や広告主にとっては、彼らが期待している以上の情報や自分たちが気づかなかったり伝えきれなかった魅力をユーザーが自発的に伝えてくれるメディアとして、今後もユーザーや消費者と企業や広告主、双方にとってより利用価値の高いメディアの提供を目指します。」





● 質疑応答


Q1 関心空間さんのサイトは、口コミサイトとはいいながら、常に質の高い情報を自発的にサイト上に集めているという感じがします。実際、サイトを運営する上での工夫や苦労というのは、どのようなことでしょうか?

A1 我々がルールとしてやってきたのは、第三者に伝えようとする意志や意欲、誠意があるかどうかということです。関心空間の中には、表示されるランクをコントロールする仕組みがあります。いわゆるグーグルのページランクというのは、多くの方からリンクを集めたり、情報性が高いと表示レベルが上がっていくため、下位のものは見られないわけです。     

それに対し、関心空間は反応が集まりやすい情報というのは、こういうものだということを、インターフェイス上に組み込んでユーザーに教えることによって、そういった「カルチャー」を作っていった点が、現在のような形になったと思います。


Q2 関心空間さんのサイトの口コミに、たまにネガティブな意見が出てくることがあるように感じます。そのような意見が出てきた時は、どのように対応されているのでしょうか?

A2 我々も、全エントリーを24時間体制でチェックしているわけではありませんが、明らかなのは、我々のところでネガティブな意見が出ているということは、他のサイトでもそういった傾向があるということです。ですから、プロモーションしている我々の中で、それを封じ込めたりすると、もっと外側で意見が跳ね返ってくることもあります。ですから、出てくる意見はそのままにしておいて、その代わり、より一層誠実なコメントを逃さないようにしています。


Q3 関心空間さんのサイトは、デザインが非常に洗練されていると感じます。デザインと良質なコンテンツが集まることには、何かつながりがあるのでしょうか?

A3 当社のデザイナーが、もともと平面上のデザインが好きだったということから、仕組みはもちろん企画をする時も画面のラップを作りながら機能を考えていきます。最近のデザイナーは、プログラムセンスのある人が多いので、そのあたりが見る方の共感を得ているのだと思います。

2006.5.26
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