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■ Report
  
第83回「Eビジネス研究会」                         平成19年5月25日(金) 
   
テ   ー  マ:

『ボクがライブドアの社長になった
                本当の理由(ワケ)をお話します』

 〜キャリアアップ最終段階で出会った
          ライブドアという会社と独自の経営哲学〜

   
Eビジネス:
マイスター
株式会社ライブドアホールディングス
代表取締役社長 平松 庚三 氏
    
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              今回は
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83回目の今回は、株式会社ライブドアホールディングスの代表取締役社長 平松 庚三氏をお迎えして、『ボクがライブドアの社長になった本当の理由(ワケ)をお話します〜キャリアアップ最終段階で出会ったライブドアという会社と独自の経営哲学〜』をテーマに、IT業界で働く人、起業をめざす人へのメッセージをお話しいただきました。

■コントロールできることと、できないこと


人生にはcontrollableなこと、つまりコントロールできることと、uncontrollable、コントロールできないことが誰にでもあります。同じような経験が、同じ数だけ来るのです。しかしこれを間違えると、コントロールできるのに、できないということになる。自分のキャリアのディベロップメント、転職でもいいです。新しいビジネスのlaunchingでもいいです。どこかとアライアンスを組むという機会でもいいです。controllableかuncontrollableなのかを決めるときに、右と左、成功と不成功というのが決まってくると思います。


コントロールできるのに、できないと思うと、大きな機会損失があるわけです。コントロールできないのに、これがcontrollableだと思って飛びつくと、そのまま崖下に落ちていくことだってあります。


ですから、僕がライブドアの社長になったということも、controllable なことかと思いきや、僕にとってはコントロールできないことだったんです。でも全てが、ソニーを飛び出したときから決まっていたような気がするんですね。

■ヘッドハンティングであれば受けていなかった


僕が弥生をMBOして、2年間で4.75倍という日本のエクイティファイナンスの中で最高の実績を付け、そしてライブドアの100%完全子会社になっていました。僕はライブドアの上級執行役員とか上席副社長というふうに、名刺こそなかったもののライブドアのホームページには書かれていました。ライブドアの中の経営会議に週1回出ていましたからね。去年1月16日にこの事件があったのですが、これがヘッドハンターからの話だったとしたら、受けていなかったと思います。


でも1月16日、今くらいの時間に携帯に秘書から電話があって、「警察が来ているから、弥生の人間も帰ってはいけない」と言われた。我々もテレビと新聞の報道以外に何も分からなかった。明けて1月18日に堀江と会いました。
「ちょっとお話があるんですけど」と堀江に言われ、普段僕が入ったことのないライブドアファイナンスという会社に行くと、堀江、宮内と中村がいて、「大変なことになって申し訳ないんですが、万一のことがあったら後をやって欲しいんですよ」と言われました。


「いったい何があったんだ!何か悪いことでもしているのか。」「いえ、法律違反はしてない、信じてほしい」と堀江が言うんですよ。「本当にそうなんだね。それなら、どこにでも出て、正々堂々とやっつければいいじゃないですか。そして一日も早く、この混乱を収めるように。だったらお手伝いしましょう」と言ったのが去年の1月18日。それ以来、堀江とは会っていませんし、話もしていません。


ですから、同じグループで同じフロアにいたとはいえ、全く違う会社に行って、引き継ぎもない、資料は全部地検に持っていかれて無くなった。
そして、何にもないところからライブドアの社長に就任し、最初の9週間に8回、記者会見をすることになりました。その8回のうち、7回も謝ることになりました。

■自分のことをプロダクトだと思っていますか?


今日、「ベンチャー企業やライブドア事件から学んだことは何か」というご質問をいただいていますが、僕が一番、メッセージとして皆さんに聞いていただきたいのは、「皆さんは、自分のことをプロダクトだと思っていますか?」ということ。
日本でプロダクトというと、touchable―手に持てる、visible―目に見えるものを指し、目に見えないものはサービスとされ、プロダクトとは言われませんでした。サービスプロダクトという言葉がつい最近出てきましたが、実は全てがプロダクトなのです。


航空会社は、輸送業ではなくサービス業です。大切なものは3つしかありません。1つはsafety、安全です。2つめはaccuracy、正確さ。3つめがcomfortという快適性なのです。


皆さんも、自分自身をプロダクトだと思うと、プロダクトエンハンスメント、つまり商品力強化が必要です。会社を興す、興さないに関わらず、皆さんは自分自身のビジネスの社長です。プロダクトだと思っていますか? プロダクトを強化していますか?
 

■自分というプロダクトをストラテジックに考えていますか?


会社でビジネスプランを立てるように、皆さんも、自分のビジネスの計画を立てていますか?


僕が言っていることは珍しいことでも何でもありません。誰でも「目標設定をする」「戦略を立てる」「アクションプラン(実行案)を作る」「実行する」「アセスメント」をやっていますよね?

うまく行かなかったら目標設定に戻りますよね?

実行案をいくつか作って、優先順位を作りますよね?

ビジネスに一番大切なものはプライオリティーをつけることです。僕のメッセージは、「皆さん自身がプロダクトなのですから、皆さん自身に対してこれを作っていますか?」ということ。5年後には何々という会社を作って…、あるいは年収いくらになって・・・、目標は何でもいいのです。強くそれを思っていますか?

そうすれば、次にどういう戦略をして、何をやるのか決まってくるはずです。

■uncontrollableな時にセカンドベストを探していますか?


ソニーから外資系企業に移ることを決めたとき、大事だと思ったことが2つありました。1つは潮目を見る。会社にも自分の人生にも、必ず潮目があります。会社も「法人」と言うくらいで、人格があるわけですから我々と同じです。我々に人生があるように、会社にも「人生」があるのです。


そして、潮目が来たら、seek the second best。2番目の解、ソリューションは何なのか、コンティンジェンシープラン(=非常事態対応策)と言ってもいいのかもしれませんが、それを常に考えておく必要があるのです。

■なぜMBOに勝ったのか?


なぜMBOに勝ったのか?というところから5年くらい前のお話をします。
インテュイットのQuickBooksはアメリカではシェア70%。ヘッドハンティングの時に言われたのは、「きみのミッションはアメリカと同じようにQuickBooksを日本の会計マーケットにおいてNo.1にすることです」。


ところが、うまく行っている会社は社長のヘッドハンティングなどしません。当然やることは2つで、現状認識と問題点の把握を6ヵ月でやります。
困ったことにQuickBooksは売上の8%だったのですが、ダイレクトなコストが38%もありました。なんで売れないんだ、と思っていたら、弥生というプロダクトが社内にあったからなのです。QuickBooksをやめて、すべての資源をフォーカスしよう。僕は2000年に入社し、2001年にそれを実行しました。

2000年当時、インテュイット・ジャパンは黒字会社でしたが営業利益率が5.7%しかありませんでした。でも今は営業利益率40%を3年連続で出しています。
したがって、アメリカの会社なのにアメリカのプロダクトを売っていないという状況になったのです。その後、売却が検討され、90〜100億円のせめぎ合いで、MBO、マネジメントバイアウトをしたわけです。

■自分に弱みがあれば、強い人を連れてくる


もう一つ、皆さんにお話ししたいのは、自分をプロダクトだと思えば弱さ、強さが分かるわけです。自分に弱いところがある。

するとどうしますか?勉強に行きますか?強い奴を連れてくればいいのです。それがチームなのです。


僕は自分のダイレクトレポートに、2つのクライテリアというセレクション・クライン、つまり条件を作っています。1つはその分野において、自分より優れていること。会計、税務、マーケティング、リサーチ、R&D、どの分野であってもいいですが、特に自分の弱いところ、その分野において自分より絶対優れていること。そして2つめに、必要な時に自分にNOと言ってくれる人。これがチームビルディングなのです。

■ネアカ主義がポジティブなスパイラルをつくる


もう1つのメッセージは「ネアカ主義」です。リーダー、経営者の資質として最も大切なのはポジティブシンキング。もっと具体的に言えば、ネアカであることです。


海外で、ソニーに13年もいたと言うと、「盛田さんってどんな人?」と聞かれます。素晴らしい経営者はたくさんいますが、人間としてのチャームがあると僕は答えます。ネガティブな時は、プリテンドする。ポジティブのふりをする。そうすると、自分がだまされるんだ、明るいふりをしていると、次第に自分でできるようになる、と盛田さんがおっしゃっていました。


冒頭でも言いましたように、いきなりライブドアの社長になって、前任者からの引き継ぎも何もなくて大混乱の中で思い出したのが、盛田さんのネアカ主義という言葉でした。何をやったのかというと、1月24日に記者会見をして、正式に、執行役員のまま社長になりましたから、すぐ次の日の節分には、全社員に豆を配って大節分大会を会社でやりました。

3月にはひな祭り、5月には全員に柏餅を配りました。一番大変だったのは、社員と家族。辛さを忘れさせたいと思ったからです。


今日は最後に、盛田さんからいただいたメッセージをアントレプレナーの皆さんにぜひ差し上げたい。


ネアカであれ、ということ。


ネアカが、ネアカのスパイラルを生む。どうしてもネアカになれないときは、ネアカのフリをする。

この1年半、この言葉に本当に助けられ、混乱を乗り越えることができました。

● 質疑応答


Q1 ライブドア事件の背景にあるものは?

A1 ライブドアの一連の行動は、信号をいつも黄色で渡っていたようなものです。理論的にセーフであっても、自分達が社会からどういうふうに見られるかを考えなければなりません。堀江の言っていたことは間違いではないかもしれません。しかし、10人で会社をやっていた頃と、3,000人以上の従業員がいる会社とは違うのです。社会から当然のことながら、CSR(=企業社会的責任)を求められます。そこに、意識の乖離があったと思います。


Q2 ライブドアの再上場はありますか?

A2 理論値としては、ないことはありませんが、訴訟を抱えている今、リアリスティックに考えると直近の3年、5年はありません。ライブドアホールディングスより、新生ライブドアのほうが、再上場の可能性があると思います。


Q3 ご自身が持ち続けてきた夢は何ですか?

A3 本当は、昨年の11月にライブドアを辞める予定だったんです。皆さんと同じように、自分のお金で、自分でやりたいことが2つありました。1つは、「小僧(英語で書くとkozoとなり、自分の名前の綴りになる)」という団塊の世代向けのコミュニティー。そして、ベトナムでの米作り。農業の企業化をやりたかったんです。


Q4 ライブドアモバイルについての認識は?

A4 モバイルの出現で電話という概念が変わりました。一家に一台の時代から一人に一台の時代になったのです。モバイルはもはや電話ではなく、電話は一部の機能にすぎない。今や完全にPDAです。ハードウェアのブレークスルーは、PCではなかなかできませんが、モバイルにはまだまだたくさんあると思います。


Q5 今後のライブドアの経営方針は?

A5 今でもライブドアホールディングスは2,000億円弱のバリュエーションを持っています。しかも無借金です。そのマネジメントをすることが1つ。そして、グループ企業を整理し、コアのビジネスに絞ることで、ライブドアグループとしての企業価値を高めたいと思っています。


Q6 これからめざすビジネスの対象は?

A6 ライブドアのポータルサイトは、Yahoo!に次ぐ2位集団にいますが、ネットレイティングスの数値を見ても明らかなように、Yahoo!が一人勝ちで、他は周回遅れのようなものです。同じフィールドにいても勝てないので、ライブドアはweb2.0に特化したサービスを提供したい。ブログには180万人のユーザがいますから、キーポジションを取っていきたいと思います。
2007.5.25
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