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■ Report
  
第87回「Eビジネス研究会」                           平成19年8月3日(金) 
   
テ   ー  マ:

『リンデンラボ社推薦「セカンドライフトレーニング講座」の
             開発担当者が語る本当のセカンドライフの実力』

〜日本一セカンドライフ制作ノウハウを持つ        
              デジタルハリウッドの考える今後の展開とは〜

   
Eビジネス:
マイスター
デジタルハリウッド株式会社
ソリューション事業部 シニアプロデューサー 
工藤 政嗣 氏
    
当日の様子はこちらから
              今回は
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87回目の今回は、デジタルハリウッド株式会社の工藤 政嗣氏をお迎えして、『リンデンラボ社推薦「セカンドライフトレーニング講座」の開発担当者が語る本当のセカンドライフの実力〜日本一セカンドライフ制作ノウハウを持つデジタルハリウッドの考える今後の展開とは〜』をテーマにお話しいただきました。


■セカンドライフの概要とデジタルハリウッドの取り組み


最初に弊社のセカンドライフへの取り組みをご紹介させていただきます。
デジタルハリウッドには、文部科学省の認可を受けている大学院があり、昨年8月にセカンドライフ研究会を立ち上げ、事例を研究しています。三淵教授がリンデンラボ社に人脈があり、研究室を開設したのが始まりです。


現在は、講師派遣、企業参入時のコンサルティング、電通さんと協同でセカンドライフ研究会の実施、ユーザー視点でのイベントなども実施しています。


セカンドライフの利用者数は、全世界で850万アカウントを突破しています。アクティブユーザー(過去60日以内にログインした方)は、現時点で161万人と言われています。うち日本人は約5.6%です。(開催日時点において) 騒がれている割には、まだこれだけの人数しかいません。3月時点では470万人、うち日本人比率が約2.4%でしたから、日本人比率が伸びており、日本での盛り上がりが大きいといえます。


なお、セカンドライフは18歳以上限定のサービスです。子供向けサービスはセカンドライフ上では実施できないので、注意が必要です。


セカンドライフの将来像についても申し上げておきます。


みずほコーポレート銀行によると、2008年度末には、アカウントは2.5億、仮想通貨リンデンドルの流通規模は1.25兆円と予測されています。野村総研の予測では、平成23年ごろから携帯電話でも利用できるようになり、利用者の裾野が広がるといわれています。


セカンドライフ内の活動範囲は「島」で表されます(1つの島=1SIMの広さは256 m×256m)が、現在、1万程度の島が存在しています。リンデンラボ社が保持している島と、企業が買っている島があり、このうち、企業の島の数が伸びています。


■セカンドライフのコンセプト


リンデンラボ社は、以下の6つのコンセプトを提唱しています。創造(CREATION)、探検(EXPLORE)、売買(MARKETPLACE)、つなぐ(COMMUNITY)、遊ぶ(GAME)、所有する(COPYRIGHT)というものです。


まず、「創造(CREATION)」については、参加者はフリーオーサリングツールで自由に物を制作することができます。リンデンスクリプトと呼ばれる言語がありますが、C言語やアクションスクリプトを知っているWebプログラマーには非常に馴染みやすいものです。


「探検(EXPLORE)」とは、現実ではありえない世界を創り、探検させることができる。最近では「体感させる」といわれています。


次に、「売買の場(MARKETPLACE)」としてのセカンドライフですが、セカンドライフの中には「リンデンドル(リンデンダラー、リンデンエックス)」というお金が流通しています。1ドル=約270リンデンドルとして、リアルマネーへのトレードが可能です。そこへの課税に関しては、アメリカの議会で議論されているところです。リンデンドルを用いると、誰もが売買することが可能で、かつ少額決済が実現できます。10円レベルのものでも売買できるのです。


そして、最重要キーワードが、「つなぐこと(COMMUNITY)」。3Dの「2ちゃんねる」的な感覚があり、参加者はコミュニケーションを求めています。


「遊び(GAME)」は、日本人から見るとクオリティーが低く見えるかもしれません。サーバの制約上、ボードゲーム、カードゲームのような簡単なものしか開発することができません。友達が作ったもので遊ぶことができること、無料で遊べることが特長です。


「所有(COPYRIGHT)」について言うと、クリエイターに著作権が帰属すること。売買したものに対して、リンデン社からマージンの要求がないという点が挙げられます。


■参入事例


参入事例として、企業の島を見て歩くことにします。


セカンドライフのソフトは誰でもインストールすることができます。ものを作ることもできるし、見ることもできるフリーソフトと考えることができます。この世界の中は「リンデンタイム」と言われていますが、いつでも昼にしたり夜にしたりすることができます。「ランドマーク」(「お気に入り」にあたる)を登録しておくと、それぞれの場所に移動することができます。


日産の自動販売機では、車を手に入れることができます。セカンドライフ内に隠れている番号を見つけたら車を入手できる仕組みです。車の試乗コースも設けられています。 過去に飛んだロケットが実物大で展示されている島もあります。このような博物館的な活用も進むと推測されます。


ジャパランド静岡に行くと、富士山があります。シャ乱Qのはたけ氏がプロデュースしている島で、セカンドライフ内では有名です。ここには占いのゲームがあります。富士山の中腹に見えないオブジェクトを置いて遊ばせる仕掛けになっています。 テレビ東京は、「昭和の夏祭り」という島を作っています。Webとも連携を図って、時間帯によっては多くの人が訪れています。金魚すくいゲームや、わた菓子を買ったりもでき、お賽銭箱の前では、クリックすると参拝できます。


新潟県の中越沖地震の募金も行われています。セカンドライフ上では募金も盛んです。自治体が参入している例もあります。現在は、宮城、沖縄、神戸が参入しています。


デジハリの島では、トレーニング講座を実施したり、作ったTシャツを展示する場所を貸したり、研究員用の場所を設けています。この中で商業活動をすることはできません。 島の人気、不人気はマップ上の点の数で表すことができます。ユーザーは島に行ってコミュニケーションをしたいのに、企業が情報を伝えるだけになっていると、ユーザー離れが起こるのです。


次に、海外の事例をご紹介します。
「アメリカンアパレル社」はECサイトとセカンドライフを融合させて成功しています。アバターが着る服の販売と同時に、リアルな服へのリンクが設けられています。


イギリス人のアーティストの「U2」はセカンドライフ上でコンサートを開きました。セカンドライフ内で新人をデビューさせ、その後リアルの世界でも有名にしていく戦略もあります。日本のアーティストではまだ事例がありませんが、今後実施されていくであろうと推測できます。


ブログからセカンドライフへの集客につなげた例もあります。「スターウッドホテル」が有名です。


政治関係では、マーク・ワーナー(バージニア州元市長)が演説を行いました。日本でも民主党の鈴木寛氏がセカンドライフ内に建物をたてましたが、規制との兼ね合いでまだ十分には選挙運動ができません。


「ロイター」は、堅いイメージを刷新するために進出し、セカンドライフ内のニュースを配信して、新鮮さの演出に成功しています。


■日本企業参入時のメリットとリスク


日本企業参入時のメリットには次のようなことがあります。


1. 話題性がある:参入そのもののニュース性があると同時に、開発費を上回るパブリシティを得ることが期待できます。


2. 最先端のイメージを確立できる:新しいメディアへの露出に対応する新鮮さの演出に効果的です。


3. 仮想空間内での新規事業案の立案:現実では実現が不可能である斬新な演出が可能になります。


4. ユーザーとのコミュニケーション:直接会って話せないユーザーとも、アバターを通して本音の、ストレートな意見を収集できます。


一方、次のようなリスクには注意が必要です。


1. リンデンドルの法的な扱いが不透明:現在は表面上禁止されていますが、ギャンブルで稼いだリンデンドルをどうするかという問題があります。日本企業の場合、実際には、リンデンドルを扱わないブランディングなどの活用事例のほうが多いです。


2. ユーザー絶対数が少ない:アクティブユーザー数がサービス規模に対して少ないという問題です。


3. ユーザー心理を理解しないまま開発を始める:オープンしたものの、月に1人来るか来ないか、という島もたくさんあります。


4. ひとつの島で最大アクセス数に限界: 1SIMで、建物などにもよりますが30〜40名を超えると収容が難しくなります。


特に、「ユーザー絶対数が少ない」ことと、「1島で最大アクセス数の限界が少ない」ことを考慮すると、Webなど他メディアとの連携を検討する必要があります。なお、セカンドライフ上では検索機能がまだ充実していないので、直接検索をさせるのは難しい状態です。


■企業や個人として、セカンドライフに参入するには


企業が参入する場合は、ユーザーの目的に耳を傾けて、出そうとしているサービスとどれくらいのギャップがあるかを考える姿勢が必須になると思います。


ユーザーはセカンドライフを、起きた事象をブログやyoutubeでアップできる面白スポット、他人(他アバター)に自慢できるレア・アイテムを手に入れられるスポット、安心してくつろげるスポット、友人と同時に参加できるイベントと捉えています。
ほとんどのユーザーがコミュニケーションを求めており、アバターに相当な感情移入をしていることにも注目です。


ほとんどの企業は、ユーザーに物を配る活動をしています。また、離れた友人同士のコミュニケーションの場として、場所貸しビジネスも始まっています。


日本人ユーザーにとっての障壁には、マシンスペック(快適な操作のためにはグラフィックボードが最低128MB、メモリが2GB程度必要)と標準言語(英語への抵抗感)の問題があります。そのため、多くの企業が日本人の囲い込みを図ろうとしています。


個人としてセカンドライフでビジネスをするなら、リアルな職業はすべて実現可能です。 服、宝石はたくさん売れる(Aimee Weberさんのような成功者は現状でも年商数千万円程度と推定)ので、アパレルの分野には非常に可能性があります。


不動産業も有望です。20万円で買える島を、付加価値をつけて転売するのです。資産が1億円に達した成功者もおり、Business Weekにアバターで登場したことがあります。


飛行機作り、ゲーム作りなどそれぞれの分野に専門家がいます。ワールドワイドでは有名人がいますが、まだ日本人の成功者はほとんどいません。何かビジネスチャンスを発見すれば成功する可能性があるでしょう。


仮想空間の活用方法は様々な企業が手法を模索中でありますが、現実で行われている ビジネスのすべてはセカンドライフの中で展開が可能であり、さらに新たなビジネスが セカンドライフの中で生まれてくることと思います。
また、人々がコミュニケーションを求めている現代には必須のサービスのひとつであると思います。




● 質疑応答


Q1 メタバースを提供する企業は、今後どのように覇権を争っていくでしょうか?

A1 メタバースがどうなるかは弊社もわかりません。ただ、ユーザーの行動から予測はできます。人と接することの価値を創ること、そのような仮想世界を形作ること、今後は携帯電話サービスも必要です。いずれにしても、ユーザー心理に応えることが重要です。 他社サービスを見ると、「meet-me」は、日本人が好むキャラクターのアバターを導入しています。セカンドライフの普及には、アバターがネックになるかもしれません。サービスの方向性として3Dインターネットサービスにおいてのビジネス展開は間違っていないと思われます。


Q2 島を買って開発するとしたら、最低限注意しておくべきことは?

A2 島は誰でも買うことができますが、何かのコンセプトにしたがって作るのは難しい。まず、スクリプトの開発ですが、技術を持っているスクリプターは日本で10人もいません。 難しいスクリプトをどうやってクリアするかが1つ目の課題です。次に、見せるCGへの工夫。それができなければ人を呼べる島のクオリティーにできません。それが無理なら、リゾート地として開発されている島を買うことです。島はリンデン社に返すことはできないので、開発ができなくなれば、転売するか捨てるしかなくなります。


Q3 島を購入しないと物は作れないのですか?

A3 借りて(ホスティング)実施することは可能です。全く無料では不可です。


Q4 島のコミュニティーを維持することへの見解は?

A4 この世界の中はまだ荒れており、仮想空間で好きなことができてしまいます。島のオーナーは、秩序を維持するためのルール(銃の禁止など)を決めることができ、違反した人のIDを入力できなくするという措置もあります。どの島も、試行錯誤ではありますが、常駐するアバターがいて、パトロールするという事例も出ています。


Q5 大企業でなくても参入して成功できる可能性は?

A5 中小企業が参入するなら、大企業にない優位性を持っていることです。コンテンツホルダーなら、大企業に勝つことができるだろうと言われています。具体的には、自分のところが持っている様々なコンテンツなどを活用できるでしょう。


2007.8.3
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