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■ Report
  
第88回「Eビジネス研究会」                          平成19年8月30日(金) 
   
 テ ー マ :

『3ヶ月間で4500万人が利用した「顔ちぇき!」の
        ジェイマジックが考えるこれからのモバイル「検索」』
〜「自分の顔が有名人の誰に似ているか」を
              判定できるサービスの先にある
     「見ているものの情報がすぐにわかる」
                   画像による検索サービスの展開〜

   
 Eビジネス :
 マイスター
ジェイマジック株式会社
代表取締役兼CEO 宮田 拓弥 氏
    


88回目の今回は、ジェイマジック株式会社の代表取締役兼CEO 宮田 拓弥 氏をお迎えして、『3ヶ月間で4500万人が利用した「顔ちぇき!〜誰に似てる?〜」のジェイマジックが考えるこれからのモバイル「検索」』 をテーマに、画像検索サービスの展望についてお話いただきました。


■「顔ちぇき!」サービス開始から現在まで  


「顔ちぇき!〜誰に似てる?〜」では、画像認識技術を使って、自分の顔写真を有名人の誰に似ているか判定するという、非常にシンプルなサービスを提供しています。   

現在の累計利用者数は5000万人を超えています。ゴールデンウィーク前にサービスを開始してから3ヶ月間で5000万枚の写真が送られてきています。  
最近では、1週間に2、3回、テレビやラジオで放映されており、それによって日々10万弱のユーザが増加しています。我々は営業を開始してから1年にも満たない会社ですが、このように大きな注目をいただいています。


■「顔ちぇき!」のサイト全体像  


「顔ちぇき!」は、写真を添付してメールを送ると、判定メールを返すというサービスです。  


ユーザから送られてきた写真に対して、まず顔の特徴点を検出します。口の端とか鼻の下みたいな特徴がデータ化されるので、それをデータベースとマッチングさせます。データベースに来た時点では、ユーザの顔は写真ではなく座標の集まりになっているというわけです。「顔ちぇき!」はシンプルでエンターテイメントなコンテンツだと思われていますが、技術的には高度な画像認識サービスとして開発しています。  

「本家顔ちぇき!」のほかに、どの動物に似ているかがわかる「アニマルちぇき!」や「パパちぇき!」といった新しいサービスもあります。   


私は顔の画像認識を以前から専門にしていますが、有名人は基本的に、誰とも似ていない、特徴的な顔をしています。男性の場合は、お笑いタレント、女性であれば素朴な印象の女優さんが上位に出るようです。


■「顔ちぇき!」のユーザ属性  


現在、「顔ちぇき!」は会員登録制ではありませんので、ユーザアンケートによるデータをご紹介します。  


ひとつの特徴としては、女性が圧倒的に多いことです。年齢層は、20代が最も多く、次いで10代。30代、40代のパーセンテージも比較的高いです。  


我々が非常に驚いたのは、このサービスを始めた当初に殺到した問い合わせの内容です。それは、カメラの使い方がわからない、メールってどう送るのか、「顔ちぇき!」を使うにはどの機種を買ったらいいのか、といったもの。電話をかけてきたのは50代、60代くらいの方でした。これは、家族の中での口コミが多いためと思われ、ネットサービスとしては異色なところであると思います。


■「顔ちぇき!」急拡大のなぜ?   


ここから核心に入っていきたいと思いますが、大きく分けて2つの観点からお話しします。  


1つめ、大きな要因だと思われるのはパケット定額制の広がりです。今は携帯ユーザの大体6割〜7割くらいの方がパケット定額制を利用しています。  


2つめは、勝手サイトの認知拡大ということです。一般サイト、つまり勝手サイトだけを使う人と、公式サイトと一般サイトの両方を使う人を合わせると、実質7割くらいの人が勝手サイトを使っています。   


3点めに、カメラ付携帯の普及です。現在の機種はカメラ付携帯が98%と、ほとんどの携帯に搭載されているということと、少なくとも月に1回は携帯のカメラで写真を撮って遊ぶというユーザが8割くらいいるという実態があります。「顔ちぇき!」的なサービスをするにあたって、モバイルデジタル環境自体が適応していたといえると思います。


■口コミを産むサイトの秘訣  


全般的な要因に続きまして、「口コミを産む環境の存在」について挙げさせていただきます。1つはSNSやブログ、2つめは携帯の検索エンジンです。  


我々が「顔ちぇき!」に対して行ったプロモーションはプレスリリースだけです。4月26日に「顔ちぇき!」というサービスを始めることがオンラインニュースに掲載され、後にポータルサイトとSNSのトップニュースに取り上げられました。  


今までは仕掛けることで口コミに乗っていくことが主流だったと思いますが、「顔ちぇき!」は自発的な口コミとして、ユーザがSNSやブログにすぐに書き込んでくれました。  


SNSでは、サービスを開始した日の夜、キーワードランキングで1位になり、そこから急増していきました。誰も「やりましょう」とは書き込んでいません。自分の結果が誰に似ているかを書く、そこから友達や家族に「顔ちぇき!」が広まった。結果論なのですが、タレントの方々のツボにはまったらしく、何人かのブログにも書いていただきました。お金をかけずに認知が広まったのです。  


もう1つ、検索の話をします。民放の、朝の情報番組を見てくださった方もいらっしゃると思いますが、これが契機になりました。  


ログから見えてきたことなのですが、ゴールデンウィーク明けのアクセス経路でいちばん多かったのはsearch.yahoo.co.jpです。テレビを見るとき、手元にみんな携帯電話を持っている。それを文字で検索する。タレントがキーワードを言うと、検索サイトの中でデータが立つということが明らかになりました。  


次に、「顔ちぇき!」が使われる時間帯についてです。
従来、携帯が使われるのは隙間時間と言われており、結局、待受けとゲームだろうという認識で3500億のマーケットが出来上がってきたわけですが、「顔ちぇき!」は、午後になるとアクセスが増え、違う傾向が出ています。人が集まる午後から夜にかけて、友達と遊ぶときや、合コンや飲み会、家族の食事の場で使われているのです。自分が暇なので使うというアプローチではなく、友達とのコミュニケーションや新しい関係性に役立つというバリューを提供できました。


■今後の展開


今後はサービスの拡充、コンテンツをいろいろ欲しいというユーザの声に応えた多角化を計画しています。9月から会員サービスを開始し、自分の結果を見せたいというユーザ向けに、その後はアルバムやコミュニティ、SNSといったサービスを行う予定です。 総合通販大手のニッセンさんとの企画に、写真を撮るとお勧めの香水がわかるというサービスがあります。非常にアクセスが好調で、香水も売れているそうです。(期間限定の為、現在は終了)  


ビジネスの切り口としては、ユーザが自分に関係があると思わせるモノが売れています。 eコマースのコンバージョンは高く、多いものでは20%に達します。これからは、タイアップが増えていくと思います。


なぜ「顔ちぇき!」を始めたのかというところについてお話しします。  
ジェイマジックは現在「顔ちぇき!」の会社ですが、1年後には検索エンジンの会社と呼ばれたいと思っています。そのキーワードが、「見たままを検索する」。目の前にある興味の対象の名前やキーワードがわからなくても情報が検索でき、すぐ利用できるような世界を実現するということです。  


例えば、近所で見つけた花やカブトムシの名前を知りたいというとき、携帯で写真を撮って検索できる図鑑のようなもの。テレビでタレントが着ている服やアクセサリーを欲しいと思ったとき、お店で見たワインを何という名前で検索したらよいのかわからないときなど、写真を撮って検索するサービスができると思います。  


「まち」「もの」「ひと」、この3つを見たまま検索できるというのがジェイマジックが考える究極の形です。まちの画像検索とは、街で「この店はどうなんだろう?」と思ったとき、口コミを見たり、入る前にクーポンがもらえるといったサービスを提供することです。  


今年7月に、「SAYL(Search As You Like)」というサービスを発表。検索結果にリスティングやアフィリエイトがついてくるというビジネスモデルを構築しようとしています。画像認識技術に関してはオリンパスおよび沖電気とのアライアンスで提供しています。  


これからは、検索手段の多様化の時代に入ると思います。会社名のようにテキスト検索が向いているものと、このお店というように画像検索のほうが便利なものとが並存するということです。  


よりよい検索エンジンを開発し、裏方に回っていこうというのが会社のコンセプトです。 皆様とぜひ、協業したいと思っています。




● 質疑応答


Q1 USのサイトでlike.comというのがあると思いますが、それとの違いは?

A1 これは私もよく知っているサイトです。コンセプト自体はよいと思いますが、携帯でないと使われないと思います。我々が携帯にこだわる理由は、見たときにその場で検索できるということです。例えば、「着うた」が売れるのも『ミュージックステーション』で放映された直後が最も多いのです。


Q2 最近の携帯電話には、スキャナー・OCRなど認識系のコンテンツが増えています。「思うような検索結果が出なかったら」など、認識技術に疑問があるのですが。

A2 認識技術自体は進歩しています。ただ、OCRに関しては日本語そのものが難しい。ハングルのOCRは完璧に動きます。なぜならハングルは記号だからです。 一方、画像認識についてですが、我々が使っているオブジェクト認識は、人間に関しては精度が高く、現実にセキュリティーの用途で利用されているほどです。ただし、物の認識には改善の余地があります。

画像認識のサービスは画像認識技術だけでは発展しません。結局データベースのクオリティーが高いかどうかに左右されます。「顔ちぇき!」でも性別を選んでデータベースを区別しないと、性別の違うそっくりさんが結果表示されてしまいます。


Q3 見たものすべてを検索できる世界は何年後に達成されると思いますか?

A3 今できる、と言うこともできます。1995年当時のテキスト検索の精度でよければという条件ですが。先ほども申しましたように、現在はデータベースの質の問題があります。精度を上げるのには5年、10年とかかるでしょう。我々は、2010年くらいに本格的な実用化をめざしています。


Q4 画像検索のビジネスモデルについて、Yahoo!やGoogleとの関係性も含め、どうお考えですか?

A4 Yahoo!にもGoogleにも画像検索がありますが、あれはメタ情報を検索しているだけで画像認識ではありません。テキスト検索と画像検索は全く違うものというのが我々が考えていることです。そういうようなアプローチでこれから面白いサービスを出していけると思います。


Q5 「顔ちぇき!」の検索がすごく速いとお聞きしましたが。

A5 いちばん処理に時間がかかるのは、完全にSMTPの部分だけですね。CPU的にいちばん重いのは画像処理の部分。我々が使っている画像認識エンジンは携帯電話のCPUでも動くようなものですので、サーバで動かせば非常に高速に動作します。


Q6 「顔ちぇき!」サービス開始時には、これで収益をあげようと思っていたのか、あくまでもアピールの場として考えていたのですか?もしメディアとして考えられていたのであれば、「顔ちぇき!」をどうやって流行らせようとしたのですか?

A6 当時は5人ほどでやっていましたが、僕は「顔ちぇき!」には実は消極的だったんです。広報はベンチャー企業にとってはある意味広告です。儲けようとするより、こういうサービスがあると知ってもらいたいという意識のほうが大きかった。もちろん、マスコミに取り上げられるまでには広報の人間が根強く働きかけた功績があったのも事実です。 メディアにはとりあえず出るというのが我々の基本方針です。これまで、メディアの力を信じてやってきました。


2007.8.30
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